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一帯一路 欧州は「東西」で温度差 分断を警戒

産経新聞 5/16(火) 7:55配信

 【ベルリン=宮下日出男】欧州では中国の経済圏構想「一帯一路」への警戒が強まっている。経済効果に期待するものの、公正な競争確保に対する中国への不信は拭えず、中国が投資先国への政治的影響力を高め、対中政策をめぐる欧州の協調が乱されることを懸念するためだ。

 先進7カ国(G7)メンバーの欧州諸国でフォーラムに首脳が参加したのはイタリアのみ。英仏独は見送った。いずれも国内の重要選挙の時期と重なったためだが、ある外交筋は「習近平国家主席と一帯一路を称賛することが(会議開催の)狙いだ」と懐疑的な見方も示す。

 欧州では、中国各地からの直通貨物列車の鉄道網整備などが着々と進み、欧州連合(EU)も域内で独自に進める投資計画との相乗効果が見込めると中国側と協調を図ってきた。トランプ米政権の保護主義への対抗のためにも中国との連携は重要との見方もある。

 ただ実際には、中国による鉄鋼の過剰供給や市場アクセス制限への不満も強まっている。一帯一路は「北京の考えに沿ったグローバル化の試み」(南ドイツ新聞)で、会議に出席したドイツの閣僚も公正な競争が確保されなければ「声明に署名しない」と牽制(けんせい)した。

 さらに一帯一路には、米国に対抗する中国の勢力圏確保という政治的思惑があるとの認識も高まってきた。中国はギリシャのピレウス港の運営権を握り、ハンガリーへの高速鉄道整備も計画。両国は南シナ海問題の仲裁裁定をめぐるEU声明案の内容に強く抵抗し、中国を名指しして裁定受け入れを迫る表現が見送られた経緯がある。

 今回の会議に欧州から首脳が出席したのは両国のほか、ポーランド、チェコのEU加盟国、加盟候補国のセルビアと東欧勢が目立つ。中国は近年、これら東欧16カ国と首脳会議を毎年開き、昨年は巨額の投資基金創設も決めた。このため「会議が示すのは中国をめぐる欧州の東西の亀裂だ」(英メディア)との指摘もある。

最終更新:5/16(火) 9:28

産経新聞