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<身代金ウイルス>露で1000台感染 各国の被害状況は

毎日新聞 5/16(火) 20:21配信

 身代金要求型のコンピューターウイルス「ランサムウエア」が各国で混乱を引き起こしている。現状をまとめた。【モスクワ杉尾直哉、ロンドン矢野純一、パリ賀有勇、上海・林哲平、ニューデリー金子淳、ジャカルタ平野芳光、サンパウロ朴鐘珠】

 「世界で最も多くの攻撃を受けた」(情報セキュリティー会社)とされるのがロシアだ。露コメルサント紙によると、内務省のコンピューター約1000台が感染。保健省、ロシア鉄道、国営銀行「ズベルバンク」、携帯電話大手「メガフォン」などでも被害が確認された。

 ロシアでの被害の大きさに関し同紙は「ウイルス駆除ソフトを更新しなかったり違法コピーを使ったりする場合が多いため」との専門家の見方を伝えた。

 英BBCによると、英国では7病院で診察記録を閲覧できないなど業務に支障がでている。東部リンカンシャーの医療委員会は、急患以外は病院に行かないように要請した。

 ドイツでは中部フランクフルトの駅で発着便電子掲示板に金を要求するメッセージが表示された。列車運行には支障がないという。

 日産と資本業務提携するフランスの自動車大手ルノーは被害拡散を防ぐため、仏国内やスロベニア、ルーマニアの工場で操業を一時停止。約5000人が働く仏北部ドゥエの工場は16日に再開した。

 スペインやポルトガルでも被害が発生。スペイン紙エルパイス(電子版)によると、通信大手テレフォニカのパソコン約100台で感染被害が確認された。

 中国国営中央テレビ(CCTV)などによると、中国では14日午後8時時点で大学や病院、警察施設など3万9730件の感染が確認された。国有石油大手・中国石油のガソリンスタンド約2万店で一時インターネットが利用できなくなり、カードなどによる支払いができなくなった。陝西省西安市の警察ではサイト上での交通違反処理などを中止した。

 インドでは西部マハラシュトラ州警察など少なくとも100件の被害があったと報じられている。地元紙によると、中央銀行のインド準備銀行は国内の銀行に対し、安全対策をするまでATM(現金自動受払機)を稼働させないよう指示した。約6割が対策を施していなかったという。

 インドネシアで最大規模のがん専門病院「国立ダルマイス病院」(ジャカルタ)では13日、院内のパソコン約600台のうち約60台に感染が確認された。自動受け付けシステムなどが使用不能になり手作業で対応。15日午前には数百人の患者が長時間、待機した。

 入院する予定の18歳の娘と訪れていた主婦のマスリアさん(49)は「3時間以上並んでいる」とぐったりとした様子で話した。

 ブラジルでは12日、国立社会保険院のシステムの一部が感染した。グロボテレビによると年金の受け取り手続きが取れなくなっているが、今週中には復旧する見通し。コロンビアでは臓器移植のデータベースのシステムが感染し移植待ちの患者の情報が閲覧できなくなった。

最終更新:5/16(火) 21:17

毎日新聞