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三菱ふそう、全車AMT化した大型トラック「スーパーグレート」と大型観光バス「エアロクィーン」「エアロエース」発表会

Impress Watch 5/16(火) 15:59配信

 三菱ふそうトラック・バスは5月15日、大型トラック「スーパーグレート」、大型観光バス「エアロクィーン/エアロエース」の新型車を同時発表した。スーパーグレートは21年ぶりのフルモデルチェンジ、エアロクィーン/エアロエースは大型観光バスでは国内初の自動変速機を標準装備とした。それぞれ燃費などの環境性能をはじめ積載量の増加、ドライバーの負担軽減などが特徴となる。

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 なお、スーパーグレートはフルモデルチェンジでスタイリングも含めて変更されたが、エアロクィーン/エアロエースはパワートレーンや室内、荷室を大幅に変更したが、外観はほとんど変更されていない。

 車両各部の写真は別記事、写真で見る 三菱ふそう「スーパーグレート」(2017年フルモデルチェンジ)、写真で見る 三菱ふそう「エアロクイーン」「エアロエース」(2017年改良)をご確認いただきたい。

 同日開催された発表会では、三菱ふそうトラック・バス 代表取締役社長 最高経営責任者(CEO) マーク・リストセーヤ氏のほか、三菱ふそうセールスジャパン 販売統括部長 丹野誠氏、バス事業本部長で三菱ふそうバス製造 取締役社長の菅野秀一氏が説明した。

■大型トラック、大型観光バスともに全車AMTが標準

 今回の新型車では、どちらも全車AMTとなったことが大きな変化。同社ではこれまでスーパーグレートでAMTの「INOMAT-II」やMT車が設定されていたが、これを整理し、すべてAMTである12速機械式自動トランスミッション「ShiftPilot(シフトパイロット)」とした。これまでMT車が主流だった大型観光バスでも、エアロクィーン/エアロエースに専用の8速機械式自動トランスミッション「ShiftPilot」を標準装備し、一気に全車2ペダルとなった。

 ShiftPilotはステアリングコラム左側のマルチファンクションレバー内のダイヤルで前進後退の切り替えなどを行なう。レバーの上げ下げでシフトアップ/ダウンも可能。リターダーもこのレバーで操作するが、減速時にはリターダーの動作も一部自動で行われ、ブレーキライニングの摩耗も抑えることができるという。

 また、坂道や弱いブレーキで停車した際に意図しない前進や後退を防ぐヒルホルダー機能や、坂道発進補助装置の「EZGO」も搭載する。さらに、スーパーグレートでは、雪道やぬかるみ路からの脱出のためにDレンジのままアクセル操作で車体の前後揺り戻しの発生を可能とする「ロッキングフリーモード」を追加した。

 AMTの装備によってドライバーの負担軽減のほか、変速ショックによる前後揺れを抑えることでスーパーグレートでは積荷の安定輸送、エアロクィーン/エアロエースでは乗客の前後の振りを抑えることができるとしている。

■スーパーグレートでは、経済性や安全性を高めた

 今回の発表会でリストセーヤ氏が最初に言及したのは燃費性能。これまで、三菱ふそうは実際にスーパーグレートをユーザーのもとに貸し出して実燃費を確認してもらい、さらにユーザー同士で燃費を競う「燃費合戦」を行なったが、リストセーヤ氏は「これから2回目をやる」と話し、自信を見せた。

 スーパーグレートではエンジンのダウンサイジングをはじめ、車両を軽量化したため、その分の積載量が増加している。発表会では、リストセーヤ氏が積載量について「最大800kgほど上がる」と説明、利用者の収益が上がるとしたほか、三菱ふそうセールスジャパン 販売統括部長の丹野誠氏は、最大15%の燃費向上、最大20%のメンテナンスコスト削減、最大8%積載量増加、稼働時間の増加を挙げた。

 また、燃費向上のための装備としては、GPSと3D地図情報によって道路勾配を予測。アクセル開度やギア選択を自動制御して燃費向上に役立てる「パワートレーン3D予測」や、3軸車の後軸タイヤを幅広のシングルタイヤとして軽量化する「スーパーシングルタイヤ」などもオプションとして用意した。

 安全性については、リストセーヤ氏が左折時の巻き込みを防止するアクティブサイドガードの装備を強調。「トラックメーカーとして、唯一。アクティブサイドガードをあった。この機能があることで、自転車や歩行者を左と右にあるセンサーが検知して、警告がある」とし、人を傷つけてしまうことをこの機能で避けることができると説明した。

 また、衝突被害軽減ブレーキの「AMB Plus」や、さらに発展させた「ABA4」を装備。スーパーグレートに用意するABA4では歩行者との衝突リスクを検出した場合も、自動ブレーキによる減速操作を行なう。

 丹野氏はさらに販売施策などを説明。3タイプに絞ったグレードと、割安な上級グレードの設定などに加え、シャシー・ボディの標準化を進め、需要に応じた在庫を持ち、短納期で納車するなどの施策を説明した。

■コネクティビティで稼働時間をアップ

 開発コンセプトの1つである「コネクティビティ」では、通信による運行管理システム「Truckonnect(トラックコネクト)」を全車標準装備とした。運転状況が24時間カスタマーアシストセンターに送られ、従来ながらのデジタルタコグラフの機能はもちろん、遠隔での故障診断が可能になる。

 例えば車両の異常を感知した際、すぐにドライバー、ユーザー企業、販売店で情報共有。感知する異常は、24時間以内に修理が必要、1週間から10日で修理が必要、次回点検時に修理というように3段階にランク分けする。

 そして、必要があればすぐに整備工場への入庫予約ができるほか、予防メンテナンスの実施や事前にパーツの取り寄せなどの準備ができるため、入庫期間を最小限に抑え、結果的にクルマの稼働時間を増加させることができるとしている。

 なお、トラックコネクトは初期導入費用、デジタルタコグラフ本体費用、サービス通信費用を含めて無料で提供する。

■エアロクィーン/エアロエースは中身が大幅に変化

 一方、大型バスのスーパーハイデッカータイプの「エアロクィーン」、ハイデッカータイプの「エアロエース」については、外見はほぼそのままだが、エンジンやトランスミッション、車体構造、装備などを新しくした。これまでMT車がほとんどだった大型観光バスだが、新型エアロクィーン/エアロエースでは、8速機械式自動トランスミッション「ShiftPilot」を標準装備とした。

 この点については、バス事業本部長の菅野秀一氏は自動変速をデファクトスタンダードにしたいと訴える。「バスのドライバーは、プロ意識、スキルも高い」としながらも、大型路線バスのこれまでのAT化の実績を挙げ「業界では疑問視されたが、今では大型路線バスで100%ATが標準化している。われわれは7年前にATというデファクトスタンダードを形成した」と自信を見せた。

 さらに、「大型観光バスのドライバーはさらにプロフェッショナル。その方たちに、満足いくATができるか?」という声があったことも紹介、その返答として「実際にこのクルマを100社以上で運転していただき、期待以上のATに仕上がっている」というフィードバックがあったことも紹介した。

 気になる経済性の点についても、菅野氏は新エンジンの「6S10」とShiftPilotを組み合わせて「現行車に対して約10%の燃費向上」としたほか、メンテナンスコストも約6%低減するとして、コスト面での優位性も強調した。

 エンジンのダウンサイジングによる効果は、エアロエースについては、エアコンを屋根上に装備して3スパントランクルームとしたことで、荷物が多いインバウンド観光客に対応。室内の通路と座席面の床をフラットにしたことで、トランクルーム室内高を拡大し、最大62名の定員と3スパントランクルームを両立した。スーパーハイデッカーのエアロクィーンについては、床のフラット化を実現したとする。

 安全面ではアクティブ・アテンション・アシストなどの装備で、これまでよりも高精度にドライバーの注意力低下を警告するようにした。車線認識カメラによる車線逸脱の警告は、ブザーではなく運転席の座面左右のバイブレーションでドライバーに伝えるようにした。これにより、乗客の睡眠を妨げるといった不快感を与えず、ドライバーのみに注意喚起ができるとしている。

 さらに、乗客側では1列目だけでなく2列目以降の乗客の座席にも3点式シートベルトの装着を進めた。仕様によっては従来のように2列目以降は2点式シートベルトも可能だが、より安全な3点式の装備を進めていくとしてる。

 そのほかの安全装備としては、15~100km/hの間で任意の速度に設定できるスピードリミッターを装備した。坂を下る際に速度を設定しておけば、下り坂でも設定速度を上まわることなく安全に坂を下ることができる。これはブレーキだけでなく、リターダーも自動的に作用して、下り坂の安全性を確保する。そのほか、周囲の交通状況から速度超過しやすい道路で使用すれば、安全面はもちろんのことドライバーが取締を受ける可能性が減り、乗務の安定性にも寄与するという。

■市場をリードするメーカーを目指す

 今回の発表会では、新型スーパーグレート、エアロクィーン/エアロエースの発表のほか、新型車によって市場でのシェアのアップなどで、市場をリードするメーカーを目指すことが強調された。

 リストセーヤ氏は販売ネットワークの拡充や新しい販売店のスタイルを挙げたほか、メカニックや営業担当者の教育も充実させ、最善のサービスを提供していくことを強調するなどした。

 販売台数についてリストセーヤ氏は「最終的にはお客さまがお決めになること」としながら、スーパーグレートについて丹野氏は現在の25%程度よりも高いシェアを取りたいという考えを示した。

Car Watch,正田拓也

最終更新:5/16(火) 15:59

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