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<東芝>WDとの対立が泥沼化 修復の糸口探る

毎日新聞 5/16(火) 21:15配信

 東芝の半導体メモリー事業売却を巡り、東芝と、協業する米ウエスタン・デジタル(WD)との対立が泥沼化している。東芝がWDを三重県四日市市の工場から「閉め出す」と警告したかと思えば、WDは国際商業会議所(ICC、本部・パリ)の国際仲裁裁判所に売却停止を申し立てた。仲裁裁の判断次第では、事業売却を前提とした再建計画が覆りかねないだけに、東芝は16日、「閉め出し」を当面見送る方針を明らかにし、修復の糸口を探り始めた。

 両者の対立が決定的になったのは、東芝が半導体事業の売却を決めてからだ。WDは4月、「事業売却には拒否権を持っている」と主張する書簡を東芝側に送付。東芝は5月に入ってからWDの対応を入札への「妨害行為」と断じ、それをやめなければ、WD技術者が社内の情報網へ通信アクセスすることを遮断すると通告した。WDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者が来日し、綱川智社長と協議したが平行線に終わり、WDによる仲裁裁への申し立てにつながった。

 仲裁裁は国際的な企業紛争を解決する組織。その判断には強制力があり、通常の裁判とは違い上訴などの仕組みはなく覆らない。判断には数年かかる場合が多い。

 また正式な判断を待つと損害が生じる恐れがある場合には「緊急仲裁」の申し立ても可能で、WDが申し立てる可能性もある。緊急仲裁は正式な申し立てと同時に手続きが進み、早ければ数週間で判断が出る。

 企業間の国際紛争に詳しい森・浜田松本法律事務所の射手矢好雄弁護士は「申し立ての最中に売却手続きを進めることはできるが、裁定でWDの主張が認められた場合、売却手続きがすべて覆る可能性もある」と指摘。別の弁護士は「申し立ての前に関係を修復できなかったのか。(売却手続きの)足かせになりかねない」と入札している他社が尻込みする可能性もあるとみる。

 仲裁裁の判断によっては、売却計画が狂う可能性がある。このため、対話による対立解消を目指すが、両者の関係は崩れているだけに、修復できるかは予断を許さない情勢だ。16日の東京株式市場では、経営再建への不安が高まり、東芝株は一時、前日終値比約13%下落した。

 政府は関係修復を求めている。世耕弘成経済産業相は16日、閣議後の記者会見で「いたずらに対立するのではなく、密接なコミュニケーションを取っていただくことを期待したい」と要望。そのうえで「四日市に技術や雇用が残るかどうかを注視している」と述べた。【古屋敷尚子、片平知宏】

最終更新:5/16(火) 21:15

毎日新聞