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経営赤字が病院圧迫 国の支援「全く足りない」 復興を問う-震災6年の現実

福島民報 5/16(火) 9:21配信

 「医師や看護師の人件費が高騰している。何とかしてほしい」「経営は赤字続きで資金が底を突きそうだ」
 福島市で2、3カ月に一度開かれ、東京電力福島第一原発事故の賠償について話し合う「東電原発事故被災病院協議会」。出席する浜通りの21病院の関係者から悲痛な訴えが聞かれる。要望を受ける復興庁、厚生労働省の関係者は毎回、言葉少なだ。
 原発事故に伴う避難指示が解除された地域の住民が帰還する受け皿整備では、防犯・防災体制の強化とともに医療環境の充実を求める声が上がっている。しかし、病院経営は苦しいやりくりが続いている。

 医療分野の治療や検査は国の定めた診療報酬に基づいて料金が決まっている。病院が独自に設定するのは認められていない。多くの患者を受け入れられる態勢を整える必要があるが、医師や看護師が原発事故で他地区に流出した影響などから数が足りず対応できない。医師と看護師をつなぎとめようとすると人件費が上昇する。
 原発事故前、黒字経営を続けていた相馬地方のある病院は平成27、28の両年度、年間2億円を超える赤字を計上している。病床の稼働率が震災前のほぼ半分となり、収益が確保できない。看護師が減っている上、高齢化が進んで夜勤の体制を組めず、入院患者の受け入れを増やせないという。
 こうした状況を踏まえ、国の福島相双復興官民合同チームは27年度から施設整備の補助事業を紹介したり、各種経費の削減策を助言したりする経営支援活動を進めてきた。しかし、被災病院協議会の関係者には「全く足りていない」と映る。「被災地の病院は運営費の補助を求めている。そもそも、原発事故が招いた医師や看護師不足を解消するのは病院側の役目なのか」との不満の声も聞こえてくる。

 浜通りの医療を支える公的病院や旧警戒区域内の病院が再開する場合、厚生労働省は政策的医療に当たるとして県を通じて運営費を補助している。それ以外については「官民合同チームによる支援により、賠償や補助金に頼らずに正常に運営できる医療体制づくりを目指している」(地域医療計画課)という。
 病院側の要望はなぜ届かないのか。国の出先機関の関係者は指摘する。「運営費を支出すれば、予算が青天井に必要となる。それは財布を握る財務省が認めない」(敬称略)

福島民報社

最終更新:5/16(火) 9:52

福島民報