ここから本文です

【千葉魂】 誰かのための力になる 貢献活動続ける井口

5/16(火) 10:33配信

千葉日報オンライン

 自然と笑みがこぼれた。仙台への移動日となった5月8日。井口資仁選手は東北新幹線の郡山駅で途中下車し、福島県須賀川市の市庁舎に足を運んだ。車を降りるとすぐに真新しい庁舎が目に入った。この日、完成をしたばかりの建物に「立派な建物。素晴らしいですね」と目を細めた。太陽光発電設備を備えた地上6階地下1階の免震構造。誰よりも楽しみにしていた完成だった。

 「この日が来るのを楽しみにしていた。ずっと見たいと思っていた。庁舎というのは市民のシンボル。市の中心がしっかりとすることで、街はより活性化していくのではないかと期待している」

        □        ■        □

 開庁したばかりの建物を最上階まで、くまなく見学をしながら、うれしそうに話をしてくれた。福島県須賀川市の旧庁舎は6年前の東日本大震災で甚大な被害を受けた。本庁舎は全損し、仮設の庁舎での業務を余儀なくされた。ホークス時代の2001年に同市で少年野球教室を行うなどの縁があった井口は知人を通じてこの状況を知ると、立ち上がった。シーズン中に現地を訪問。建設資金の一部にと100万円を寄付した。さらに被害が大きかった福島県の沿岸部ではなく、内陸部に位置することで広く世間に報道されていない状況を懸念。「知ってもらうことが大事」とインターネットにクラウドファンディングサイトを立ち上げ、市の現状を適時、発信し続けながらファンから寄付金200万円を募ることに尽力した。14年オフには自ら足を運び、小中学生を対象に野球教室を行い、激励をした。

 「なかなか知られていないということもあり、まずは自分が活動をすることでこの状況を知ってもらいたいと思っていた。皆さんに賛同をいただき、支援ができたことがうれしい。ただ、自分の支援は微々たるものだし、これからが大事」

 そう言いながら、まるで自分の新居が完成したかのように飽きることなく眺め続けた。寄付金を募った後も、新庁舎建設の途中経過の資料を適時、取り寄せるなど完成までの経過を気にし続けてきた。だから「初めて見たのだけど、随時、資料などで見ていたから、そうは感じないぐらいだった」と笑う。そしていろいろな思いを乗せて完成をした市の新しいシンボルに「細部まで市民のためにというコンセプトで行き届いていて、思っていた以上に素晴らしかった」と声を弾ませた。

        □        ■        □

 同市はウルトラマンを製作した故円谷英二氏の故郷としても有名だ。訪問を受けた橋本克也市長は見学を終えた井口を玄関まで見送るとその大きな背中を見ながら、しみじみと語りだした。「私なりの解釈ですがウルトラマンには『誰かのために力になれる人であってほしい』という子供たちへの思いが込められているような気がします。誰かのために力を尽くせるのはすごいこと。私もこのような想像を絶する窮地から、ここまでこられたのは、やはり支えてくれた人がいたからです。だから井口さんは私たちにとってウルトラマンです。心から感謝をしています」。自己中心的なことの多い現代社会において誰かの喜ぶ顔を見たいがために野球だけではなく、さまざまな貢献活動を続ける背番号「6」の姿はまさに正義の味方ウルトラマン。市長の言葉に二つのヒーローがダブって見えた。

 「今は打撃での貢献も、もちろん必要だけどベンチの雰囲気をよくすることも自分の役割だと思っている」

 スタートダッシュに失敗をしたマリーンズにあってチーム最年長の大ベテランの存在感は大きい。プレー中だけではなく試合前、試合中のベンチでも若手に率先して声をかけたり、落ち込んでいる時は雰囲気を和ませようと、時には冗談を口にしたりとチーム全体を考えて行動をしている。「まだまだこれから。一つ一つ。ファンのためにね」。義の男・井口資仁。これからもみんなの笑顔を見るために精力的に動いていく。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

スポーツナビ 野球情報

MLB 日本人選手出場試合6/25(日) 18:20