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「○○家の墓」システムが崩壊か 「だれが墓を守るのか」著者に聞く

5/16(火) 8:45配信

福井新聞ONLINE

 無縁墓が全国的に増え続けている現状を描いた「だれが墓を守るのか」の著者で、第一生命経済研究所の主席研究員、小谷みどりさん(48)に、墓を通して見える社会の課題や今後の墓の在り方について聞いた。小谷さんは「自分をしのんでくれると思える相手がいることで、死への恐怖が安心感に変わる。血縁にこだわらず、生きている間に、まわりの人とどういう縁を築くかが問われている」と話した。

 ―「○○家の墓」というシステムが崩壊しつつある。

 「ライフスタイルの変化より、長寿化の影響が大きい。例えば90歳で亡くなった場合、33回忌の法事は孫が担うことになる。核家族化の中で、孫が法事をやるだろうか。○○家の墓が続かないのは、ある意味当たり前」

 ―信仰心がなくなっているのでは。

 「信仰心の実態は世間体だと思う。派手な葬式は、見えや世間体に影響を受けた慣習であり、それを寺は信仰が厚いと勘違いしてきたのではないか。今は地縁とともに世間体もなくなった。墓や葬儀は、亡くなった人と残された家族のリアルな人間関係が色濃く出るようになった」

 ―無縁墓が問題視されるようになった。

 「無縁墓は1980年代からあったが、未婚や子どもがいないなどで家が途絶えた“かわいそうな人たち”という感覚だった。しかし最近は社会的な問題だと、みんなが気づき始めた」

 ―撤去すべきでは。

 「市営墓地であれば、撤去・更地化には税金が投入される。しかし更地にしたところで次に借りる人がいない。だから放置しておいた方が得と判断している自治体は多い」

 ―高齢化社会で、墓は不足しているはずでは。

 「反対に墓は余っている。理由は分からない。遺骨を捨てている人、家に置いている人が相当いるはず。弔われない遺骨が増えている」

 ―なぜ弔われないのか。

 「90年以降、生涯未婚率が高まっている。近年は単身高齢者が増えたことで、生活保護支給件数が増えている。生きているときに手助けしてくれる人がいない人が、死んでから弔われることはあまり考えられない」

 ―無縁墓をなくすには。

 「基本的に今の墓は永代使用。つまり代がある限り使用を認めるということ。それを20、30年など期限を設けて、それ以降は更新するシステムにすればよい。更新しなければ共同墓に移す」

 「最近は老人ホームが、希望者の遺骨を納める共同墓をつくり、年に一度供養祭を開くなどしている。入所者にとっても、死後に対する安心感につながっている。これからの墓の継承は、血縁という縦のつながりより、横のつながりが重要になる」

 ―本では「死を考えることは生を考えること」と指摘している。

 「葬式や墓に誰が来てくれるか想像してみてほしい。思い浮かばなければ、死後はこうなるという確証が何もないということ。であれば、生きているうちから、いろんな縁をつくる努力が必要」