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U-20日本代表がW杯直前に露呈した課題とは?訪れた試練は“天の配剤”となるか

GOAL 5/16(火) 12:32配信

課題の出た試合だったのは間違いない。FIFA U-20 ワールドカップ韓国2017開幕を目前に控え、U-20日本代表は5月15日、静岡県内でU-20ホンジュラス代表と国際親善試合を行った。結果は3-2での勝利となったが、内容的にはポジティブな材料ばかりではなかった。内山篤監督は今年に入ってから「勝負のディテール」を強調しながら守備の取り組みやルーズボールへの対応を強化してきたが、まさに懸念していた部分が出るような内容となった。

1失点目はCKからのカウンターだった。こぼれ球を拾えず、速攻に備えて残っていたDFがあっさりかわされた時点で勝負あり。ホンジュラスの攻撃は速くて鋭かったとはいえ、世界大会なら当たり前のレベルだろう。「甘い」と言われても仕方ない形だった。「日本にはない感覚だったけれど、止めたかった」(GK小島亨介/早稲田大)という巧みにタイミングを外すシュートへの対応を含めて、反省材料が詰まった失点だった。

2失点目はパスワークのミスから。その前に縦へのパスをカットされる流れがあり、少し全体に弱気の判断が増えてきた状況からのボールロストだった。「詰まっている感じだった」というMF堂安律(ガンバ大阪)の感触はよく分かる。当然ながらミス自体をなくせればベストだが、奪われた後の対応も、反省点が多い。切り替えの素早さはもちろんだが、ファウル覚悟で止める選択肢もあった。そして判断も悪くなっていた。相手が前から追い込んでいる状況ならば、無理をすることなく裏へのパスを選択し、相手の守備の狙いを外しても良かったからだ。内山監督は頑迷に後方からつなぐことを求めているわけではなく、そのために裏狙いのFW岩崎悠人(京都サンガF.C.)を先発させているとも言える。相手が激しく前から折ってくるなら、状況に応じてシンプルな選択をしておく必要もある。もとより今大会で対峙する3カ国は、日本がボール支配率で圧倒して勝てるような相手ではない。

いずれも本大会でやれば致命傷と言うほかない。それが直前試合でなお出てしまっている状態とネガティブに捉えることもできるが、「本大会の前にやられておいて良かった」というDF中山雄太(柏レイソル)のポジティブな総括こそ有益だろう。ベンチでその様子を観ていたMF板倉滉(川崎フロンターレ)も「一瞬のスピードが違う。世界ではああいうプレーが簡単に失点につながってしまうことを、今日みんなが感じることができた」と前向きに話す。競り負けるシーンも出ていたが、どうしても“対日本人感覚”で競ってしまったところを「まったく違う」(内山監督)国際試合の感覚に調整できたと観るべきだ。さすがにこの内容を受けて「問題ない」と思って大会に臨むような間の抜けた選手は、代表チームに1人もいまい。

また良薬口に苦しとは言うものの、「ビハインドを負う中で前向きにトライして逆転できたのは、ひとつ大きい」とFW小川航基(ジュビロ磐田)が振り返ったように、苦しい流れになりつつも最後は逆転勝ちで終われたこともポジティブだろう。このチームは1次予選から最終予選に掛けて公式戦で失点をしたことがなく、リードを奪われた状態で戦う経験値が実は不足している。最後の調整試合でそういう機会が訪れたことも、あるいは天の配剤だったのかもしれない。

チームはこの試合を最後に国内合宿を打ち上げ、決戦の地・韓国へと旅立つ。幸いにも2つの試合で負傷者が出ることもなく、「チームの雰囲気はすごくいい」(板倉)とメンタル的にも良い状態で調整ができた。負傷からの回復具合が心配されていた正GK小島亨介も復活し、ホンジュラス戦の流れで本大会の戦い方も固まった感がある。まずは守備力のあるメンバーで試合に入り、相手の疲れが見えてきたところでテンポを変えられるMF市丸瑞希(G大阪)、FW久保建英(FC東京)を切り札として送り出して試合を動かす。相手がパワープレーで来るなら、守備固めで高さのある板倉をボランチに置くオプションも用意した。

あとは21人全員で最後まで10年ぶりの世界舞台を戦い抜くのみ、である。

文=川端暁彦

最終更新:5/16(火) 12:32

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