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公開された「MRJ」工場の今。量産計画はめど立たず

5/16(火) 10:23配信

ニュースイッチ

量産機から試験機に転用。「試験後に顧客に納入するか検討している」

 三菱重工業が国産小型ジェット旅客機「MRJ」のイメージ回復を図っている。愛知県営名古屋空港(愛知県豊山町)近くの最終組立工場で、座席数76の「MRJ70」初号機など4機の製造工程を報道陣にこのほど公開した。量産初号機の納入時期は5度目の延期で2年遅れ、2020年半ばになった。量産計画の見通しは立たないものの、開発、製造状況をアピールして世間の不安を和らげる狙いがある。

 量産初号機の納入先であるANAホールディングス(HD)仕様に塗装された試験5号機など4機が2本のラインに並び、組み立て作業が進む。延べ床面積約4万4000平方メートルの最終組立工場には最大12機を置けるが、4機では空きスペースが目立つ。

 4機は米国で飛行試験中の試験1―4号機に続く機体。そのうちの1機、MRJ70は先行する「MRJ90」(座席数88)より1年遅れで開発すると説明していた機体で、今回、初めて公開された。

 ただ、4機の今後は不透明だ。三菱重工は延期の原因となった電気配線の見直しなど、秋までに設計変更を完了する目標を立てている。試験5号機以外の3機は量産機として製造していたが納入延期に伴い、試験機に転用される見通し。変更内容を反映した機体で試験したいからだ。

 量産機から試験機に転用された後についても流動的だ。三菱航空機の岸信夫副社長は「試験機専用にするか、試験後に顧客に納入するか検討している」と説明する。

 また、納入延期前には20年に月産10機まで増やすと掲げていた量産計画についても、「計画全体の遅れに伴って見直しており、現時点でいつ開始とは言えない」(高口宙之三菱重工MRJ事業部長)状況。

 三菱重工がこうした時期に最終組立工場を公開したのは、産みの苦しみを味わいながらも諦めず歩を進めていることをアピールする狙いがある。

三菱航空機の水谷久和社長は「秋までの設計変更を守るのが非常に重要」との認識を示した上で、「地に足がついた開発状態になっている」と自信を示す。

 「世界に飛ばすぞ!国産ジェット」―。最終組立工場の内壁に飾られた横断幕の文言だ。その言葉通り日本の航空機産業の将来を背負って飛び立てるか。MRJ事業の正念場は続く。

日刊工業新聞名古屋支社・戸村智幸

最終更新:5/16(火) 10:23
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