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売上高3.6兆円、営業利益500億円ー。東芝、地味な重電・インフラ企業への道

ニュースイッチ 5/16(火) 10:38配信

「地道な成長を重ね、安定的に稼いでいく」(綱川社長)

 東芝の経営再建に複数の壁が立ちはだかっている。15日に2017年3月期の業績概要を発表したが、監査法人の承認は得られず、有価証券報告書を期限通りに提出できるかは不透明だ。再建の要とする半導体メモリー事業の売却には、協業先である米ウエスタンデジタル(WD)の“待った”がかかった。巨額赤字、債務超過、売却期限、上場廃止リスク―。“新生・東芝”の実現は、次々と降りかかる難題を乗り越えられるかにかかる。

 東芝は原発リスクの遮断と半導体メモリー事業の売却を進める一方、社会インフラ関連を中核とする“新生東芝”の安定的な成長を描く。売却を検討する半導体メモリー事業とスイスのスマートメーター(通信機能付き電力量計)大手、ランディス・ギアの売り上げを除く、17年度の全社売り上げは3兆6500億円、営業利益は500億円を見込む。

 今後、売り上げをけん引するのは公共インフラ、ビル・施設、鉄道・産業システム、リテール&プリンティング事業などの社会インフラ領域だ。

 同事業を主力とするインフラシステムソリューション社の売り上げ見通しは16年度が1兆2600億円、17年度は1兆2200億円と底堅い。将来的に目指す東芝の姿について「地道な成長を重ね、安定的に稼いでいく」(綱川社長)としている。

分社化は本当に正解なのか

 また、東芝は7月以降に分社化し、子会社や関連会社は各事業会社の傘下に入ることで各事業の機動性を高める。火力発電やビル設備など、大規模工事に必要な「特定建設業」の許認可を更新する計画だ。“新生東芝”には社会インフラ関連事業のほかに、原発以外のエネルギー、ICT(情報通信技術)を加え、既存事業を最大化する。17年度内に再成長の体制を整え、19年度に売上高4兆2000億円を計画する。

 そのため17年度は約400億円を費やし構造改革を実施するほか、メモリー事業以外で約1150億円の設備投資を投じる。平田政善専務は「18年度以降の成長に向けて、競争力強化の原資とする」と意気込む。

<解説>
 綱川社長がいう「地道な成長」は可能か。メモリー事業の売却発表後、本社部門から各事業部門に対し成長戦略のプラン提出を執拗に求めてきているが、事業部門からすると「うちは成長事業じゃない」というのが本音だろう。そもそも数千億単位の事業が多く、競争力強化の原資となっていたメモリー事業がなくなれば、成長投資もできない。

 不正会計問題が起きる前の東芝でさえ、営業利益率が5%までなかなかいかなかった。しかも分社すればなおさら経営リソースの思い切った差配ができなくなる。かつて売上高7000ー8000億円規模の富士電機が純粋持株会社にして見事に失敗。現在は元の体制に戻している。ほんの目先の構造改革優先で実施する分社はマイナスだろう。

最終更新:5/16(火) 10:38

ニュースイッチ