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ナガイモの種イモ不足深刻 全国有数産地の青森 昨秋の台風影響

デーリー東北新聞社 5/16(火) 12:10配信

 昨年の台風10号の被害で、国内トップクラスのナガイモ産地である青森県南の作付面積が減少する可能性が出てきた。強風で支柱が倒れたことによる「つる切れ」で種イモの肥大不足や変形が目立ち、植え付けシーズンを迎えた生産現場では例年並みの確保が難しい状況だ。生産者は規模の維持に努めるが、質の劣る種イモを使わざるを得ないケースもあり、収穫への影響を懸念する声が上がる。

 被害が特に大きい東北町。ゆうき青森農協ながいも部会長の乙部英夫さん(55)は「県産の全国シェアを保つことが重要。何とか面積を維持したいが、どうなるか予想できない」と複雑な表情を浮かべる。部会員約550人、面積約450ヘクタールは県内最大だが、中にはいつもの半分しか種イモがない生産者もいる。

 同農協によると、種イモは最低でも50グラム、できれば100グラムあるのが望ましいが、今年は50グラム未満も多く見られる。それでも、面積を維持するためには植え付けざるを得ない。

 県内では「むかご」(つるになる実)から「1年子」と呼ばれる子イモを育てて植えるのが一般的だが、1年子の被害で、出荷用の成イモを切って種に回す「切りイモ」に取り組む生産者も格段に増えた。

 しかし、ノウハウがない上、植え付け適期が1年子とは異なり、地温が低いと腐敗するなど、植えたとしても順調に生育するかは見通せない。

 加えて管内では、3月から4月にかけての降雨で春掘り作業がずれ込み、植え付けが1週間~10日遅れ気味。同農協営農指導課の甲地惣太係長は「今後の天候次第だが、種が弱く、植え付けも遅れたと想定し、例年よりこまめに栽培講習会を開きたい」とする。

 おいらせ農協(本所・三沢市)の管内でも種イモが不足。部会では作付面積の維持を呼び掛けているが、種イモを確保できずに肥料や作業工程が同じゴボウに切り替える動きも出ているという。

 部会長の浦田忠博さん(63)は「ナガイモ栽培は重労働。生産者の高齢化も進む中で、一度面積が減ってしまったら元に戻ることはないだろう」と危機感をあらわにする。

 産地を守れるか、正念場を迎えている。

デーリー東北新聞社

最終更新:5/16(火) 12:10

デーリー東北新聞社