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【F1】ホンダ山本モータースポーツ部長に訊く「ザウバーで日本人ドライバーを起用する可能性」

5/16(火) 19:13配信

motorsport.com 日本版

 スペインGPの現場で、ホンダの山本雅史モータースポーツ部長がインタビューに答えた。主題は2018年からのザウバーへのパワーユニット供給。ザウバーのモニシャ・カルテンボーン代表が示唆したとおり、両者の話し合いが始まった時期は山本部長の口から発せられなかったが、ホンダとしてはザウバーに的を絞っての交渉だったようだ(その前にはレッドブルからのアプローチもあったようだが、マクラーレンの反対で実現しなかった)。

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 ザウバーに絞った理由はいくつかあるだろうが、ホンダが最優先したのは日本人ドライバー起用の可能性を確認出来たからだろう。マクラーレンが日本人ドライバーを乗せる可能性は非常に低い。ならば第2チームの存在こそが唯一の可能性だ。それが証拠に、ザウバーのカルテンボーン代表は日本人ドライバーの採用を否定していない。

 さて、そうした知識を持って山本部長のインタビューを読んでただければ、ホンダのF1活動の一端が垣間見えるはずだ。

Q. マクラーレンとザウバーへのホンダのスタンスは?

「マクラーレンはワークスチーム、ザウバーはカスタマーチームという認識です。新しいシステムやパーツのテスト、開発はマクラーレンで行い、ザウバーでは行いません。それを時間差でザウバーに供給します。ザウバーも理解しています。来年から使用可能なパワーユニットの数は3基になるので、慎重にやらなければなりません」

Q. ザウバーはF1以外の分野でもホンダと提携して仕事をしたがっていますね。

「そういうアプローチはありました。ザウバーの施設でホンダのクルマの開発を手伝う、とカルテンボーンは言っています。でも、F1以外ですね。ザウバーで日本のGTレース用の部品を作る可能性もあります。例えば風洞を使って欲しいとザウバーから申し出があったりします。ホンダにもさくら研究所に100%の風洞など十分な設備はあります。そこではGTマシンの空力をやっているんですが、F1では風洞は一個所しか使えないので、マクラーレンの風洞を使っている……ということなので、我々がザウバーの施設をどう使うかはまだ考慮中です」

Q. 来年になってザウバーへのエンジン供給が始まると、技術スタッフの数は当然増えますよね?

「今のおおよそ2倍の数になるんじゃないかと思っています。技術関係者のポジションは未定です。長谷川(祐介/F1プロジェクト総責任者)が技術部隊のトップに立って、マクラーレンとザウバーに担当責任者を置くというのが理想的ですが、それに関しても検討中です。ただ、マクラーレンとの関係もあり、どうなるか決めていません。マクラーレンはあくまで自分たちのところへは技術トップが欲しいと言ってくるかもしれませんから」

Q. パワーユニットの2チーム供給となると、それに関連するパーツやシステムも共有する必要が出て来ることになるのでしょうか?

「そうなるでしょうね。例えばギヤボックスですが、マクラーレン、ザウバー、ホンダが積極的にギヤボックスの話をしないのは、まだどこの何を使うか決まっていないからです。我々が4台にパワーユニット供給する結果、より多くのデータが取れるということですが、それには4台とも同じものを使わないといけない。ギヤボックスの話が混乱していたのは、どこのギヤボックスを使うか議論していたからです。今のところ、マクラーレン製を使うという方向かな? 技術的なことは問題ありません。ただ、政治的な背景があって、これまではみんながしっくり来なかったんです。いろんな話がギヤボックスに絡んでいたので、それで複雑になっていたんです」

Q. さて、日本人ドライバー起用の可能性ですが。ザウバーは歓迎ですか?

「ザウバーに日本人ドライバーを乗せるという可能性は、良いドライバーがいれば使いましょう、とカルテンボーンと話しているところです。我々としては日本人には拘らない。ホンダとしては可能性をより広げて、夏過ぎには話し合いをしましょうということです。日本人ドライバーを考えると、やはりヨーロッパのレース、特にF3から来るんじゃないかと思います。世界の中で最も過酷なレースですね。あそこから這い上がって来るドライバーはF1でも十分に通用するだろうと思います。最初から最後までガチンコです。牧野(任祐)は良いカテゴリーで戦っていますね。でも、まだ実力が発揮出来ていない。なかなか大変だろうな、というのが正直な感想です。でも、先にも言ったように我々は日本人には限りません。どんなカテゴリーからでも、速い人が上がって来れば起用しますよ」

Q. マクラーレン・ホンダの現状に関しては?

「現行のエンジン(パワーユニット)レギュレーションは2020年まで継続です。そこまでに進化させるために苦労している。開発は継続しています。ザウバーへの供給でマクラーレンへの力の入れ具合が薄れるのではないかと心配する声もマクラーレンの中にありましたが、これから先どうやって行くか、技術的なことに関しては長谷川が説明しました。リソースに関しても準備は万端にするつもりで、ザウバーへのエンジニアも準備している。マクラーレンに迷惑はかけません」

Q. ザウバーへのパワーユニット供給が始まるとヨーロッパ(イギリス)の前線基地はスペース的に大丈夫ですか? 設備もスタッフも増えると思いますが。

「イギリスのミルトンキーンズにあるレース・オペレーションの本拠地は変わりません。スペースも十分だと思います。もし手狭になれば、隣にあるM-Techの建物を使わせてもらいます。あの2階は空いているようですから」

Q. 本社の社長、役員の支援は十分ですか?

「本社も、社長を初め皆さんが精力的に後押ししてくれています。ただ、ここスペインに来る前に『もう3年目だからそろそろ何とかしてくれ』と役員に言われました。『大丈夫です、何とかします』と言ったんですが、本音は『いつからどうなるの?』と言うことでしょう。でも、続けなければいけないという認識はみんな持っています。そのためにも少しでも早く良い成績を収めるように、努力は惜しんでいません」

赤井邦彦