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青森・油川で「お遍路さん」/霊場88カ所巡り

Web東奥 5/16(火) 11:56配信

 「お遍路」といえば、弘法大師(空海)が開いた四国の霊場八十八カ所札所を巡るのが有名だが、その本尊を模した八十八体の石仏が、青森市油川地区の霊場にある。その名も「青森四国八十八ヶ所霊場」。新緑が輝く5月初旬、祈りの心に触れようと歩いてみた。
 一番札所は野木和公園に近い修験道信道院敷地内にある。木のつえを借り、釈迦(しゃくか)如来を拝んでいざ出発。道しるべに従い、石仏に手を合わせながら歩を進めた。つえに書かれた経文は読めないが、気分はまさに「お遍路さん」だ。
 「青森四国八十八ヶ所霊場」は、信道院初代住職の萩原信道(本名國策)和尚が1933(昭和8)年に開山した。幼少期に大病を患い、医者にも見放された國策は救ってくれた神仏への信仰心に目覚め、四国八十八カ所を巡るようになった。後に北海道の函館に初めて霊場を開き、津軽海峡を渡ると油川の豊かな自然にほれ込んだといわれている。
 ザッザッザッ…。山道の静寂を破るのは枯れ葉を踏む足音とウグイスの声。新緑と爽やかな風に包まれ、足取りも軽く巡った。遍路道は歩きやすい農道があれば、林や、やぶに分け入ることも。急な坂道にも出くわした。分かれ道などの要所には矢印の標識が立っており、道に迷う心配はなかった。
 足取りも軽くスタートしたつもりが、50体目の石仏を過ぎたころからは息が上がり始めた。疲れて下を向くと、たくさんの春の草花や山菜に気付いた。「天ぷらにしたらうまいだろうなぁ…」。いやいや、雑念を振り払い、ひたすら進んだ。
 医学が未発達の時代、人々が何より「はやり病」を恐れ、神仏に救いを求めた証しだろうか。石仏は薬師如来や大日如来、千手観世音などが多い。石仏の顔はみんな違う。似ているようでも微妙に笑っていたり、鋭い目つきをしていたり。立っているものも寝ている姿のものもあった。
 約8キロのコース。普通に歩けば3時間ほどで巡り終えるというが、石仏に手を合わせ、4時間弱で巡礼した。最後には汗と泥まみれで足もクタクタになったが、達成感は大きく、心は晴れやかだった。
 遍路道の維持、整備には地域住民が長年、汗を流してきた。5年ほど前から「青森四国八十八ヶ所霊場巡り」を実施している油川コミュニティ協議会は、今年も一般の参加者を募り7月初めに行う予定。
 代表の葛西清悦さんは「油川の歴史、文化を多くの人に知ってもらいたい。宗教にとらわれず、ハイキングや自然散策、山菜採りなどでも気軽に歩きに来てほしい」と話した。

東奥日報社

最終更新:5/16(火) 11:56

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