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がむしゃら大逆転!稀勢、右足一本で残し逆襲の押し出し/夏場所

サンケイスポーツ 5/17(水) 7:00配信

 大相撲夏場所3日目(16日、両国国技館、観衆=1万816)左上腕部、左大胸筋に負傷を抱え、左からの攻めに影響が出ている横綱稀勢の里(30)は、平幕千代の国(26)のスピードある動きに苦戦。厳しい体勢で俵に詰まりながらも、逆襲で押し出して2勝目を挙げ、白星を先行させた。4日目は平幕遠藤(26)と対戦。3場所連続優勝へ向け、平幕相手に星を落とさず序盤を乗り切る。

 5本の指が、熊手になった。右足の指先を「く」の字にして土俵をかむ。半身で反り返った上半身。俵にかかった右足一本。184キロの稀勢の里の全体重、押し出そうとする相手の圧力がその一点に押し寄せた。

 「何があるかわからない。最後までね」

 立ち合いで当たって挟みつけながら前へ出ようとする稀勢の里が、千代の国のいなしにバランスを崩す。右差し、左はずとなった相手が激しく寄り立てる。横綱は左から小手に振って一度はこらえたが、右半身に傾き、左足は宙に浮いたまま。俵にかかった右足一本で残す体勢となった。

 万事休す。ところが、そこを残して起死回生の逆襲へ。差し手を抜いて、引いてきた相手に体を預けるように押し込んだ。辛抱、辛抱、そして、逆転の15秒8。前のめりに倒れて腹には土俵の砂がべっとりとついたが、「(残した後も)いける感覚があった。まだ、若いからね。いい状態でいけている」。勝ち名乗りを受ける呼吸は、乱れていなかった。

 3月の春場所終盤で負傷した左上腕部、左大胸筋の患部には厚いテーピングが施されたまま。その影響で左腕が思うように使えず、初日に小結嘉風に敗れるなどもどかしい土俵となっている。それでも、負傷したときも休場を選択せず、逆転で賜杯を抱いた先場所。横綱はこういっていた。「上(上半身)が駄目なら下(下半身)でやる」。だから、4月の春巡業を全休したその間も下半身に特化したトレーニングを継続した。

 場所後の6月10日には、故郷の茨城・牛久市で「稀勢の里郷土後援会」による激励会が開かれる。同後援会は全国から会員を受け入れ、昨年の同じ頃は約750人だった。それが現在は1800人へ激増。昨年は約200人の会員が参加したが、後援会では「今年は500人以上が見込めそうです」。

 横綱になって初めての激励会だけに、“民意”が行政を動かすかもしれない。都市整備の一環としての要望で、2月中旬に牛久市内で優勝パレードを行った道路を含めて「稀勢の里通り」と命名する案だ。後援者の一人は「地元に後世へ名前を残す何かができれば」。負傷を抱えていても、跳んだり跳ねたりはしない。横綱は“王道”をいく。

最終更新:5/17(水) 7:00

サンケイスポーツ