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安来出身・加納莞蕾の戦犯赦免記録、ユネスコ「世界の記憶」へ登録申請

産経新聞 5/17(水) 7:55配信

 島根県安来市出身の画家・加納莞蕾(かんらい)(本名・辰夫、1904~77年)が戦後手がけたフィリピン日本人戦犯の赦免運動の記録を、ユネスコの「世界の記憶」(地域登録)に登録するよう、資料を管理する加納美術振興財団が国内公募に申請した。同財団が16日、申請内容を公表した。

 従軍画家の経験を持つ加納は、フィリピンの刑務所に戦犯として収容されていた日本兵の助命嘆願活動に取り組み、当時のキリノ大統領らに嘆願書を送り続けた。この情熱に動かされるなどして、キリノ大統領は戦犯の特赦を決めた。

 同財団は、「人類の普遍的原理を基調とした加納の活動記録は、アジア太平洋諸国の人々の記憶に残すべき貴重な遺産だ」として関係資料の登録を申請した。

 申請したのは、助命嘆願書の草案をはじめ、キリノ大統領や当時のローマ法王、連合軍総司令官のマッカーサー元帥らに宛てた書簡やその返書など、1949~58年に書かれた242点の資料。

 加納の4女で、同財団が運営する安来市加納美術館の名誉館長を務める佳世子さん(72)は「資料を見ると、昼夜を問わず書き物をしていた父の姿を思い出す。キリノ大統領が示してくれた『赦(ゆる)しのモラル』が世界に届いてほしい」と話している。

 「世界の記憶」は、世界的な重要性を持つ文書や音楽、写真、映画などの記録遺産を対象に、ユネスコが認定・登録する。国際登録と地域登録があり、日本ユネスコ国内委員会は2~5月、地域登録を公募。今後、推薦物件を決め、世界の記憶アジア太平洋地域委員会に申請、平成30年春頃に登録の可否が決まる。

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 同美術館では、今月27日から関連資料を公開する。

最終更新:5/17(水) 7:55

産経新聞