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「次の経済危機は2年以内」オバマアドバイザーの著名エコノミストが警告

ZUU online 5/17(水) 6:10配信

オバマ前大統領のアドバイザーも務めた著名エコノミスト、モハメド・エラリアン氏が、「根本的な方向転換を行わないかぎり、2年以内に経済危機が訪れる」 との警告を発した。

暗雲の晴れないBrexit、低金利、若者の失業率、所得格差など、複数の要因が複雑に絡み合い、2008年の経済危機以降、作為的に生みだされた「人工的な市場の繁栄」が、終幕に近づいていると、市場の動きを冷静に観測している。

■Brexit交渉の停滞にしびれをきらす市場

世界経済の行方に関しては、専門家の間でも様々な意見が飛び交っている。最大の関心は「経済危機に向かって前進しているのか、あるいは回避することができるのか」の一点だ。

一流のエコノミストの中でも、最も経験と知識のある人物として知られているエラリアン氏は、ネガティブ派の一人だ。オックスフォード大学とケンブリッジ大学で経済学を学んだ後、IMF(国際通貨基金)や世界最大の資産運用会社、PIMCO(パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー)での経験を活かして、現在は独Allianzでチーフ・アドバイザーの地位に就いている。

エラリアン氏が懸念する次の経済危機の引き金の一つは、Brexitである。離脱を決定づけた昨年6月の国民投票から1年が経過した現在も、実質上は何の交渉も取りまとめられていない。

政治家は市場の混乱を回避するために、意図的に離脱交渉プロセスを遅らせているが、それとともに市場の動きも鈍化している。「そうした停滞に市場自体が苛立ち始め、投資家は以前にも増して交渉の行方に敏感になっている」というのが、エラリアン氏の見解だ。

■米経済の時限爆弾は保護主義ではなく低迷する経済成長

暗黙が立ちこめているのは英国だけではない。米経済がかかえる時限爆弾は、トランプ政権によってにわかに注目を浴びた保護主義ではなく、「長引く低経済成長と包括的成長の欠落」だ。市場がこの状態に慣れきってしまい、転換点を予測するのが非常に困難になっている。

所得・スキル格差が欧州で見られる若者の高失業率を加速させている点も、深刻な不安要因である。エラリアン氏はこうした社会情勢が、政治への憎悪として跳ね返りつつある現状を指摘し、「予測のつかない事態を引き起こす」と、巨大化するバブルに不安を募らせている。

しかし濃厚さを増すネガティブな空気から、金融市場が何かを読み取ってはいる気配は感じられない。そこが最も恐ろしい落とし穴だ。投資家は、中央銀行が市場に変動を起こし続けてくれると依存し、企業による自社株買いや配当に期待を寄せているが、強引かつ作為的な利益創出は永遠に続くものではない。

■金融危機10周年の2017年 ジンクスはやぶられるのか?

昨年国債の3割が低金利下で取引されていた事実も、エラリアン氏は懸念材料に挙げている。前回の金融以降、経済市場が徹底的な再編プロセスをくぐらず、低金利政策に代表される応急処置のみで存続してきたツケが、月日を追うごとに膨張している。

市場の安定化を図る中央銀行の力が脆弱化したとの指摘は、様々な専門家から挙がっている。エラリアン氏の見解では「政治も、経済も混沌とし過ぎている」現在、世界が向かう道は二通りしかない。

根本的から改革を実施し高度成長に向かうか、あるいは低成長期にとどまり新たな景気減退を待つかだ。後者を選べば、確実に経済は悪化し、政治情勢も手のつけられないものへと加速して行くだろう。

おりしも今年は経済危機の10周年目にあたる。1987年のブラックマンデー、1997年のアジア通貨危機、2007年のサブプライム問題など、「2017年に市場が大混乱をきたす」という説を、「単なる偶然」と笑い飛ばすには、世界情勢が緊迫しすぎているような気がしてならない。(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

ZUU online

最終更新:5/17(水) 6:10

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