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福岡市の法人税減税「1号」はIoT関連企業

産経新聞 5/17(水) 7:55配信

 福岡市は16日、市内で創業したベンチャー企業に、法人市民税の軽減制度を適用したと発表した。国家戦略特区「創業特区」指定から5月で3年。高島宗一郎市長が規制緩和の「本丸」と位置づけた法人税軽減の運用が始まる。市はさらなる企業集積や産業振興に意欲を示す。 (高瀬真由子)

 指定第1号には「スカイディスク」(福岡市中央区)が選ばれた。さまざまな機器をネットワークでつなげ、付加価値を生み出すIoT関連企業だ。

 具体的には、温度や気圧を感知するセンサー開発や、AI(人工知能)を使った情報分析、アプリの提供などを手掛ける。農場での作物管理や、長距離トラックにおける荷物管理など、さまざまな分野での事業展開が期待される。

 今回、市税の一部が控除される軽減措置によって、実効税率が現行の約30%から約27%まで下がる。同社にとって、年間数十万円の負担低減になるという。

 最高経営責任者(CEO)、橋本司氏(41)は記者会見で「創業期から1円でも節約して、事業に回したいと思っていた。事業拡大を積極的に進めたい」と述べた。橋本氏は北九州市出身。海外展開も見据え、アジアの玄関口で、規制緩和が活用できる福岡市を創業地に選んだ。

 高島氏は「リスクをとってチャレンジする創業者のモデルとして、活躍いただきたい」と期待を語った。

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 ■複数企業が関心

 特区による法人税軽減は、高島氏にとって悲願だった。

 慎重姿勢の財務省に対し、高島氏は政府・与党に実現を訴え続けた。安倍晋三首相らの後押しもあり、平成28年度の税制改正大綱で、法人所得控除が盛り込まれた。事実上の減税だった。これを受け、市は独自の軽減制度を創設した。

 25年4月以降に設立し、創業5年未満の企業▽特区で規制の特例措置を活用していること▽IoTやIT(情報技術)、医療などの分野で革新的な事業を行っている-を適用の要件とした。最大5年間、法人市民税を軽減する。

 企業側の関心も高い。4月の開始から、複数の企業から相談が寄せられた。今後10社程度、指定できる見通しという。

 日本の法人税実効税率約30%に対し、中国や韓国は約24%。シンガポールは約17%だ。市の制度に加え、法人税の国税部分の控除が上乗せされれば、実効税率は22%台まで下がる。

 法人税減税は、起業家の誘致競争を勝ち抜く上で大きな武器となる。トランプ米大統領も35%から15%への税率引き下げを打ち出した。

 特区指定から3年。創業を促進する環境は整備された。法人税軽減に加え、外国人起業家の在留資格の条件緩和などが実現した。

 26年に開業した市の創業支援施設で相談し、起業につながったケースは、3月末時点で少なくとも95件あった。起業家の人的つながりも、市内に生まれた。

 高島氏はこの日の記者会見で「特区を取ったとき、『創業サポートが何になるんだ』といわれたこともあった。それでも、成長企業を創り出すミッションが形になり始めた。裾野は広がっており、今後は企業がスケールアップするという高さを出したい」と語った。

 起業から成長へ。福岡市は、さらなる規制緩和の実現などで、手厚いサポート態勢を整える。

最終更新:5/17(水) 7:55

産経新聞