ここから本文です

名物テレビマンが語る ビートたけしは持ち込み企画が多かった

日刊ゲンダイDIGITAL 5/17(水) 9:26配信

コラム【たけし、さんま、所はなぜ凄い?】

 日本テレビ入局以来30年にわたり、ビートたけし、明石家さんま、所ジョージと仕事を共にした元同局プロデューサーの吉川圭三氏。ビッグ3と間近で接してきたテレビマンが“凄さ”の理由を解き明かす。

  ◇  ◇  ◇

 あの瀕死の重傷を負ったバイク事故の後、“イージー・ライダーのコスプレ”で番組に突っ込んでくるというインパクトのあるテレビ復帰をしたのも僕が担当する特番でした。たけしさんは僕らテレビマンのことを「お兄ちゃんさぁ……」と呼んでいて、テレビ局の人間は目をかけても突然異動になるから感情移入しないということらしく、楽屋では壁を見てたばこを吸っているだけ。

 たけしさんは構成にダメ出しすることもないが、よほどのことがない限り僕らに話すらしませんでした。

「世界まる見え!テレビ特捜部」はドキュメンタリーからバラエティー番組まで世界中から集めて、たけしさんと所ジョージさんがいじる。そこでハチミツを採取する、ハニーハンターのドキュメンタリーを紹介すると「俺はハニーハンターだ!」「ハニーハンター!」と番組中に連呼。“これは気に入ってくれたんだ”と小躍りするほどうれしかったですね。

 普段何も言ってくれないたけしさんが喜んでいる……また喜ばせたいと思ってしまう。そうやって何もしなくともこちらが動いてしまう、喜んで欲しくて皆が動く。触媒的な“人たらし”。たけしさんは間接的に人を動かすのが絶妙で、直接的な言葉は使わないのです。

 映画監督の前から既にクリエーターとしても実力を発揮していたことはあまり知られていません。実は「風雲!たけし城」「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」など、たけしさんの持ち込み企画も多かった。「たけし城」は、ゲームのスーパーマリオブラザーズの実写版、「元気が出るテレビ」はリアリティーショー全体のルーツになっています。「元気が出るテレビ」のDNAは、「進め!電波少年」「世界の果てまでイッテQ!」を生み出している。

 そのクリエーティビティーの裏には膨大な読書という裏付けもありました。映画「座頭市」で、華麗なタップダンスを見せたことでも知られるように、人に努力しているところを見せないたけしさんは、フライデー襲撃事件の後はひたすら読書に時間を費やしていました。

 よくいるオジサンみたいに有名人の言葉をそのまま引用するのでなく、一度、自分の中で咀嚼してから自分の意見として発しているため、インテリ度に磨きがかかり、キタノ映画の奥深さにもつながっているのだと思います。

 それでいて「70になってさ、お姉ちゃんにモテなくなった」とぼやく。すでに「世界のキタノ」として地位も名声も得ているのに、いい意味でゲスというか男心を失っていないあたりがまた近寄りたくなる“人たらし”なのです。

▽吉川圭三 1957年、東京都生まれ。82年、日本テレビに入局し、「世界まる見え!テレビ特捜部」「恋のから騒ぎ」「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」などを手掛ける。13年、日本テレビからドワンゴへ出向、現在、ドワンゴ会長室付エグゼクティブプロデューサーを務める。近著に「たけし、さんま、所の『すごい』仕事現場」(小学館)がある。

最終更新:5/18(木) 17:56

日刊ゲンダイDIGITAL