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未利用熱を逃さない、低温排熱から温度差2倍で熱回収する新型冷凍機

スマートジャパン 5/17(水) 9:10配信

 工場などの設備で発生する排熱を有効活用できるようにする技術開発が進んでいる。NEDOプロジェクトで日立ジョンソンコントロールズ空調と日立製作所は、産業排熱などの利用可能温度をより低温域まで拡大し、従来の約2倍の温度差で熱回収が可能な吸収冷凍機の開発に成功した。従来より排熱利用温度範囲が拡大し、工場排熱や地域熱供給ネットワークなどにおける未利用熱の活用促進が期待できるという。

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 冷凍機には高温の蒸気などで駆動させる二重効用吸収式冷凍機と、低温の温水で駆動させる一重効用吸収式冷凍機がある。今回開発した「DXS」という吸収冷凍機は、従来型の一重効用吸収冷凍機に改良を加えたものだ。

 一重効用吸収冷凍機は、駆動熱源となる温水から熱を得て吸収液(LiBr水溶液)から冷媒(水)を再生し、「蒸発→吸収→再生→凝縮」と循環させるサイクルによって、蒸発器で冷水を作る。開発したDXSは、今回採用した一重効用ダブルリフト吸収冷凍サイクルはこの一重効用吸収サイクルに低温再生器、補助吸収器及び補助再生器を加えたダブルリフトサイクルという構造を採用。さらに吸収器で蒸発器から蒸発した冷媒を吸収した吸収液は、高温再生器と低温再生器に平行して循環させるパラレルフローという方式を採用している。

 このように一重効用ダブルリフト吸収冷凍サイクルとすることで、95℃の温水排熱から従来は75℃までの熱しか回収できなかったところを、より低温域の51℃まで熱回収できることが検証できた。また、ダブルリフトサイクルを採用することにより、駆動熱源である温水の単位流量あたりの熱回収量を増やし、排熱をより多く利用して冷熱への変換量を従来機に対して約2倍に高めることができたとしている。

 より低温度域までの大温度差熱回収が可能なため、同じ熱量の回収に必要な温水流量を従来比約半分に削減も減らすことができ、搬送動力も従来機の約半分まで削減できるという。温水循環ポンプのダウンサイジングおよび温水配管の小径化により設備工事費を抑えられるというメリットもある。なお、日立ジョンソンコントロールズ空調は2017年4月からこの技術を適用した吸収冷凍機の販売を開始している。

 NEDOは利用されることなく環境中に排出されている膨大な量の未利用熱に着目し、その削減および有効利用を可能にする技術の開発を目的に、2015年度からシステムの確立を目指した「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」から実施している。未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合(TherMAT)である日立ジョンソンコントロールズ空調と日立製作所はこのプロジェクトの一環としてDXSを開発した。

最終更新:5/17(水) 9:10

スマートジャパン