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福井晶一が3度目の“新化” 日本初演30周年「レ・ミゼラブル」主演、「今度こそ、集大成に」

夕刊フジ 5/17(水) 16:56配信

 ミュージカル界の金字塔「レ・ミゼラブル」が今年、日本初演30周年を迎え、記念公演を5月から10月にかけて東京・帝国劇場を皮切りに全国ロングランで行う。

 原作は巨匠ヴィクトル・ユゴーが、19世紀初頭のフランスの動乱期を舞台に、無知と貧困、革命と正義、誇りと尊厳などをテーマに描いた大河小説。1985年にアラン・ブーブリル&ミッシェル・シェーンベルクによってミュージカル化され、英ロンドンで初演して以来、全世界での観客総数が7000万人を超える大ヒット作品である。

 日本初演は87年で、前回の2015年の公演で上演回数3000回を突破。今回は15年に続くリニューアル3度目の公演で、福井はそのすべてで主役のジャン・バルジャンを務めている。

 「『レ・ミッズ』(=レ・ミゼラブル)は劇団四季を退団後、初めて出演した作品で、ぼくにとっての新たな第2ステージになりました。王道ミュージカルの最高峰の作品で、俳優にとっては目標であり、出演できるのは誇りでもあります。30周年の重みを改めて感じていますが、プレッシャーに負けないよう、また新たな『レ・ミッズ』に挑みたい」。きっぱりと決意を示した。

 実は13年に初めて出演したときは、バルジャンとライバル役のジャベールの2役を交代で演じたが、公演の直前にアキレス腱を負傷し、添え木をつけてのパフォーマンスだった。「足首が動けない制限の多い状態で、役に集中しにくかった」という。

 15年の再演はバルジャンだけで主演したが、その前の1年間は体調を崩して休養しており、仕事復帰の第1作だった。

 「ぼく自身の体調不良に加えて、父とおいが相次いで亡くなり、精神的にも落ち込んでいたんです。厄年だったんですかね。舞台初日に父のことを思った時、フッと力が抜けて背中を押されたような気持ちになって吹っ切れたんです」

 迎える3度目のバルジャン役。「今度こそ、体力的にも精神的にも万全で臨んで集大成にしたい。この作品はまず音楽がすばらしい。テーマも普遍的で劇的な魅力があり、時代も世代も超えて感情移入できる。心情の移り変わりを音楽にのせて歌えるよう、バルジャン役としっかり向き合います」と誓った。

 小学校から高校までは、野球少年だった。

 「プロになりたいと思ったこともありました。出身は北海道ですが、父の影響でタイガースファンで、掛布選手にあこがれていました」

 それがどうして俳優の道に?

 「歌うことは好きで、野球の祝賀会などで演歌を歌うと、上手だとほめられるのが快感でしたね。高校では結局、甲子園には出られず、夏休みからすることがなくなった。姉が撮りだめていたテレビのステージVTRを見て音楽座のステージにハマり、こんなふうに感動させられる仕事をしたいと思ったんです」

 友人に教えられた東京の舞台芸術学院に進み、卒業後は劇団四季のオーディションを受けて合格。1年後に舞台デビューして、2年目に「キャッツ」でマンカストラップ役を射止めた。

 「俳優になる手がかりもわからず、舞台芸術学院は市村(正親)さんが出身だったので、間違いないかなと。『キャッツ』には6、7年出続けて2500回ぐらいは出ましたね」

 天性の声の良さがレッスンを重ねることでめきめき上達。劇団四季の代表作に次々と主演して、看板俳優に成長するが、12年に退団する。

 「劇団四季では舞台人としてのすべてを教えていただきました。ただ、1つの目標であった『美女と野獣』に出られたことで、ある種の達成感と孤独を感じたんです。それで退団を決めて、ちょうどオーディションがあった『レ・ミッズ』に挑戦したんです。劇団を離れてからは、個人の責任感と応援してくださる方のありがた味を一層感じるようになりました」

 今では歌唱力豊かな骨太のミュージカル俳優として確固たる地位を築いている。これから何を目指しどう成長していきたいのか。

 「年齢も重ねてきたので、これまでとは違う、もっといろんな役を演じたいですね。チャンスがあれば映像やストレートプレーにもチャレンジしたい。また、昨年初めてオリジナル・ミュージカルに出演したんですが、一から作る日本のオリジナルの初演で主演したいですね」

 脂と実力が乗りに乗った40代前半。ほとばしる意欲とエネルギーを舞台に向ける。

 (ペン・平松澄子 カメラ・南雲都)

 ■ふくい・しょういち ミュージカル俳優。1973年11月8日、北海道旭川市生まれ、43歳。舞台芸術学院を経て、95年に劇団四季研究所に33期生として入所。96年「ドリーミング」で初舞台を踏み、「キャッツ」のマンカストラップ、「アイーダ」のラダメス、「美女と野獣」の野獣、「ライオンキング」のムサファなどの主要な役で活躍。2012年に退団した後は、13年の「レ・ミゼラブル」を皮切りにミュージカルの舞台で活動。ほかの出演作は「ジャージーボーイズ」「SNOW MANGO」など。

 ミュージカル「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャン役は福井のほかヤン・ジュンモ、吉原光夫のトリプルキャスト。日本初演30周年記念公演は、東京・帝国劇場で5月21日からのプレビューで始まり、7月17日まで。その後、8月1~26日=福岡・博多座、9月2~15日=大阪・フェスティバルホール、9月25日~10月16日=名古屋・中日劇場と回る。

最終更新:5/17(水) 17:07

夕刊フジ