ここから本文です

休場なら宙に浮く莫大“稀勢マネー”狂騒 総額約3720万円「個人指定懸賞」消滅、“プラチナチケット”暴落必至

夕刊フジ 5/17(水) 16:56配信

 左上腕、左胸などを痛めながら強行出場に踏み切った横綱稀勢の里(30)=田子ノ浦=は15日の大相撲夏場所(東京・両国国技館)2日目、東前頭2枚目の隠岐の海(31)=八角=を寄り切り初白星を挙げた。初日はいいところなく完敗し、連敗となれば早速休場が現実味を帯びるところだった。とはいえ先は長く、平幕に勝ったからといって休場危機を完全に払拭できたわけでもない。今場所の目玉が休場に追い込まれた場合、宙に浮く“稀勢マネー”は莫大。なんとか15日間まっとうをと、祈るような思いでいるのは本人だけではない。

 初日は痛めている左腕を使えず、いいところなく敗れたが、2日目は違った。

 隠岐の海に浅いもろ差しを許したものの、慌てることなく左おっつけから巻き替えて左差し。そのまま寄り切った。

 「いつも通り。問題ないです」と待望の白星にも淡々。取組前に控えで座っているとき、2番前で取った体重187キロの照ノ富士が押し出され土俵から落ちてきて、負傷している左腕付近を直撃。痛みに顔をしかめたが、報道陣からそのことについて聞かれると「いいんじゃない、気が紛れて」と冗談めかし、一瞬頬を緩めた。

 審判長を務めた山科親方(元小結大錦)は「左が使えないといわれていたけど、結構ちゃんと使っていた。本人が(場所前に)『大丈夫です』と言っていたけど、その通りだなという感じ」と分析。

 「初日は作戦失敗だったのかもしれない。立ち会いで作戦ミスすると、ああ(一方的な相撲に)なるから」と嘉風に完敗した相撲を振り返った。

 とはいえ楽観はできない。仮に休場となれば、まず影響が出るのが、全体で史上最多の総本数約2200本に達した今場所の懸賞金の行方だ。

 場所前の時点で、稀勢の里にはこれまた史上最多600本超(15日間)の「個人指定懸賞」がかけられていた。懸賞は1本あたり6万2000円で、総額約3720万円に上る。

 場所中の新規申し込みも多く、すでに7月の名古屋場所や9月の秋場所の問い合わせも入っているほど。

 ちなみに懸賞金には個人指定のほか、15日間にわたって注目度の高い結びの一番にかけるもの、土日指定などのタイプがあり、ファン投票でかける力士を選出する「森永賞」もある。

 日本相撲協会の担当者によると、懸賞金をかけた力士が休場した場合、「他の力士に振り替える場合と、『うちは稀勢の里しか応援していないので、今場所は取りやめます』というところがある」という。

 仮に稀勢の里が3日目から休場した場合、ざっと約600本の稀勢の里個人指定懸賞の15分の13、520本、3224万円分が宙に浮いていた計算。おそらく他の力士に振り替えるケースは少なく大部分が“消滅”するとみられる。

 1本6万2000円のうち力士の手取りは、協会の事務経費や税金を引かれ、3万円に過ぎないが、それでも初日に稀勢の里を破った嘉風は懸賞54本(手取り162万円)をゲット。2日目に勝った稀勢の里は41本(同123万円)を手にした。

 影響を受けるのは懸賞金だけではない。

 NHKの中継は初日、15・3%の高視聴率(関東地区=ビデオリサーチ調べ)だったが、主役不在となればダウン必至。連日相撲を報じている朝昼のワイドショーでも取り上げられなくなり、注目度は一気に下がるだろう。

 今場所の前売り券は4月8日の発売当日、15日分がわずか90分で完売したため、入場料収入に大きな影響が出ることはない。しかし今場所は連日、当日券400枚もあっという間に売り切れ、さらに買えなかった大勢のファンが国技館前で力士を“入り待ち”する異常事態。こういうにぎやかなムードも一気にしぼみそうだ。

 ここ数場所バカ売れの稀勢の里弁当、その他関連グッズの売上にも影響は避けられまい。稀勢の里が表紙のジャポニカ学習帳は大人気で国技館では飛ぶように売れている。

 また、勧められる話ではないが、今場所のチケットはネットオークションでも高騰。1人あたり1万1700円のマスA席(1-4人用)が、3~4倍の値で取引されている。あるサイトでは今場所のチケットが約3000枚も出品された。これも稀勢の里が休場すれば“暴落”必至だ。

 横綱2場所目にして、稀勢の里は早くもとんでもない責任を背負わされた格好だ。

最終更新:5/17(水) 16:56

夕刊フジ