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<難病患者と家族>理解向上 努力続く

河北新報 5/17(水) 13:36配信

 宮城県立こども病院(仙台市青葉区)に入院中の難病の三男(1)の口や鼻を手でふさいで殺そうとしたとして、母親(42)が昨年11月、殺人未遂容疑で逮捕された。母親は約10年前、同じ遺伝性の難病で次男を亡くしていた。介護の負担、孤立、絶望…。仙台地裁で18日に開かれる母親の裁判員裁判初公判を前に、難病患者を取り巻く現状を追った。(報道部・千葉淳一)

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<曇る表情>

 顔ぶれは前回とほぼ同じだった。「一般の参加者は数える程度」。仙台市のNPO法人「宮城県患者・家族団体連絡協議会」の理事長、小関理(おさむ)さん(64)の表情が曇った。

 協議会が青葉区の市福祉プラザで2月に開いた「難病患者等ボランティア講座」。毎回、一般参加を呼び掛けているが、出席した約40人の大半は関係者が占めた。

 同じ講座でも、老人介護や終活といった「誰もが通る」テーマは関心が高い。一方、難病や障害といったテーマは「当事者意識を持ちにくいのかもしれない」と小関さんはみる。

 昨年11月、青葉区の県立こども病院に入院中の難病の三男(1)に手を掛けようとした母親(42)は、約10年前に亡くした次男も同じ難病を患っていたとされる。

 自らも難病患者の小関さんは「母親は『どうして難病の子を産んだのか』『他人に迷惑を掛けられない』と悩み抜いたに違いない」と指摘する。

 難病は病気の希少性もあり、患者や家族の苦悩は理解されにくい。公的機関ですら、相談するのは家庭内のプライバシーをさらけ出すことになり、勇気が要るという。

 「社会に苦悩をすくい上げる機能があれば…」。こう悔しさをにじませる小関さん自身も、周囲の無理解や無関心に悩まされてきた。

 20歳ごろから原因不明の頭痛と倦怠(けんたい)感に苦しんできた。中学教諭になってからも毎年、20日間の年休を使い切った。周囲に体調不良を訴え続けた。「怠けている」と見られ、孤立していった。病名が判明したのは発症から10年後だ。

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最終更新:5/17(水) 16:56

河北新報