ここから本文です

秋田市導入の障害者用119 普及に課題

河北新報 5/17(水) 16:15配信

 聴覚、言語機能に障害がある人のための「Web(ウェブ)119緊急通報システム」を、秋田県内で唯一、秋田市が運用している。ファクスや電子メールを補う通報手段の役割を担うが、この1年間の登録者は28人。インターネットに不慣れな人には使いにくいことなどから伸び悩んでおり、改良を求める声も出ている。

 システムは外出先から通報できるほか、メールより第1報にかかる時間が短縮され、携帯電話の衛星利用測位システム(GPS)で位置情報を伝えることができるなどの利点がある。

 消防庁が全国の消防本部に導入を促しており、秋田市は昨年4月のシステム更新時に導入。希望者は事前に住所や氏名、緊急連絡先などを登録する。市消防本部指令課の担当者は「外出先でも利用できるので、以前よりもより安心できる」と利用を呼び掛ける。

 登録者数が低迷する理由について、県聴覚障害者支援センター長で聴覚に障害がある加藤薫さん(63)=秋田市=は「外で使える安心感はある。ただ、インターネットに不慣れな高齢者もおり、慣れた人でも身動きが取れない状況だった場合、文字を入力するのは難しい」と指摘。ボタン一つで大まかな通報内容を伝えられるようにするといった改良を望む。

 消防庁によると、全国の消防本部でシステムを導入したのは約2割。普及が進まない背景には、旅行や仕事で消防本部の区域外に出た場合は使えないなどの不便さがあるとみられる。

 同庁は2015年に学識経験者や障害者団体でつくる検討会を設置。利用しやすいボタンの配置や、通報を各消防本部に振り分ける仕組みを研究し、全国で同じホームページから通報できる態勢づくりを急ぐ。

 県内では全13の消防本部に専用ファクスがあり、7本部はメールを併用する。ウェブに関しては「利用開始に向けて準備を進めている」(五城目町)という消防本部もあり、システムの改良が進めば導入は増えていくとみられる。

 加藤さんは「いつでも、どこでも、簡単に通報できることが大切だ。課題を改善し、制度を広めてほしい」と要望する。

[Web119緊急通報システム]携帯電話やスマートフォンを使って消防の専用ホームページ(HP)から通報する。秋田市の場合、市内への通勤通学者も対象。緊急時はHPに接続し「自宅」「外出先」「救急」「火事」などを押すと、指令センターと文字でやりとりができる。GPSで通報場所を特定し、消防車や救急車が出動する。

最終更新:5/17(水) 16:15

河北新報