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【オークス】ソウルスターリング100点!非の打ちどころなし

スポニチアネックス 5/17(水) 6:01配信

 走る名画だ。鈴木康弘元調教師がG1出走馬の馬体を診断する「達眼」。第78回オークス(21日、東京)では昨年の2歳女王ソウルスターリングに唯一満点を付けた。1番人気で3着に敗れた桜花賞のリベンジを期す樫の女王決戦。達眼が捉えたのは活力に満ちたボディーと距離延長にも対応できる立ち姿だ。

 息をのむほど美しい馬体の背景には青々と葉を茂らせた壁紙。ソウルスターリングは生け垣をあしらったこの壁紙のように季節が変化しても姿をほとんど変えていません。何度か指摘した通り、セザンヌやドガら印象派の巨匠が描いた名画を思わせる造形美。非の打ちどころがない部位がしなやかに無駄なくリンクし、完璧なバランスを整えている。柔らかい筋肉をつけた深いトモ(後肢)、そのパワーを受ける飛節は頑丈で絶妙な角度。流麗に抜けた首差し、滑らかに傾斜した肩に付いた過不足ない筋肉、盛り上がったキ甲(首と背の間の膨らみ)。すでに完成されたサラブレッドの造形といえるでしょう。

 表情も一緒です。1カ月前の撮影と同じように穏やかな目つきと耳の立て方。ハミを適度な緊張感をもってくわえている。尾も自然に下へ垂らしています。立ち姿は精神状態を偽りなく表す写し絵。

 桜花賞では道悪馬場にしきりと手前(軸脚)を替え、初の敗戦を味わいました。でも、精神的なダメージはどこにも見当たらない。名画の造形が時を経ても変わらないように桜花賞時の姿そのままです。ただ1点を除いて…。

 前回よりも腹周りが少しフックラしています。セザンヌやドガが一度仕上げた作品に活力を加えようと描き足したような力強さ。桜花賞後に短期放牧を挟んだと聞きました。短い休養でも見るからにエネルギーが蓄積された腹周りです。

 距離延長がプラスになる体形とは言えません。2400メートルを得意とする馬は部位のつながりに遊びがありますがソウルスターリングは前述した通り、どこにも無駄がない。美し過ぎる造形です。それでも、こなせると私は思う。引っ掛かる不安を感じさせない穏やかな表情。長い距離を走っても疲労がたまりづらい柔軟な筋肉、エネルギーにあふれた腹周り。もっと大切なことがあります。タテガミと尾は出走馬の中で最もよく手入れされている。際立って美しい身だしなみ。折り合いという競馬の躾(しつけ)も行き届いているはずです。「躾」は「身」と「美」からなっているように、身だしなみを美しくすることが基本。鞍上の指示を守って上手に2400メートルを走れるのではないか。

 青々と葉を茂らせた壁紙に映える馬体。その背景が東京競馬場の新緑に替わっても美しく活力ある姿を見せられるでしょう。走る名画です。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日、東京生まれの73歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許を取得し、東京競馬場で開業。78年の開場とともに美浦へ。93~03年には日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。

最終更新:5/17(水) 6:01

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