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<次世代素材>軽くて強いCNF 「世界初」商品化、次々と

毎日新聞 5/17(水) 18:53配信

 ◇新たにトイレクリーナーも登場

 植物由来で軽くて強い次世代素材「セルロースナノファイバー(CNF)」を使った商品が相次いで登場している。これまで国内では紙おむつ、ボールペンのインク、オーディオのスピーカーに採用され、新たにトイレクリーナーも登場。世界最先端のバイオマス素材であるCNFの商品化は日本が世界をリードしており、今後も普及が進みそうだ。

 エリエールブランドの大王製紙は4月1日、世界で初めてCNFを配合したトイレ用ペーパークリーナーを発売した。CNFは極細の繊維であるため、トイレ周辺の目に見えない雑菌や汚れなども除去することができるという。従来型のペーパークリーナーと比べ、破れにくいのも特徴という。

 三菱鉛筆は2015年3月、インクにCNFを配合したボールペンを北米で発売。同社によると、「筆記具としてはもちろん、CNFを実用化した商品の発売は、このボールペンが世界初」という。極細のCNFを混ぜることでインクが滑らかになり、「速書きなど従来なら文字がかすれやすい状況でも、かすれずにきれいな文字や線が描ける」という。16年5月から国内でも販売を始めた。

 日本製紙グループは15年10月、CNFを用いた大人用紙おむつを発売。CNFは軽くて強いほか、表面積が大きいことから、抗菌・消臭効果のある金属イオンを多量に付着させることができ、紙おむつには最適という。従来品と比べ3倍以上の消臭力を実現した。

 オンキヨーグループは16年12月、世界で初めてCNFを振動板に用いたスピーカーを発売。軽量で力を加えても変形しづらいCNFは低音再生のスピーカーには理想的で、「生演奏の迫力、演奏者や会場の臨場感を再現できる」という。

 いずれもCNFの特徴を生かした「世界初」の商品ばかり。大王製紙と日本製紙は自社開発のCNFで、三菱鉛筆は第一工業製薬、オンキヨーは中越パルプ工業が開発したCNFを調達して製品化している。

 経済産業省と産業技術総合研究所によると、「日本はフランス、スウェーデンなどとともにCNFの研究開発でトップを走っている」という。今後は自動車の外板や内装材、太陽光発電パネル、化粧品など幅広い商品へ採用される可能性がある。本格的に普及させるには、生産コストの低減と用途拡大が課題となる。このため官民が連携し、製紙会社などCNFの供給側と、自動車・電機・化粧品メーカーなど需要側が情報を共有することで、実用化に向けた取り組みを加速させる方針だ。【川口雅浩】

 ◇次世代素材 セルロースナノファイバー(CNF)

 植物繊維を化学的、機械的に処理し、ナノレベル(ナノは10億分の1で、1ナノメートルは1ミリの100万分の1の長さ)まで細かくほぐした次世代素材。軽量ながら鉄の5倍以上の強度を持つとされ、▽極細で表面積が大きい▽ガスを通しにくい▽粘性がある--などの特徴がある。本格普及には、自動車や家電、電子機器などの部材にも用途を広げ、コストを抑える必要がある。CNFは定義や特性の評価項目などの国際標準がこれから決まるため、日本は官民で研究開発を進め、国際標準づくりでも主導権を握ろうとしている。経済産業省は2020年にCNFの製造コストを現在の4分の1から10分の1に下げ、30年に1兆円の市場に育てることを目指している。

最終更新:5/17(水) 18:53

毎日新聞