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北ミサイルの脅威…MD網導入前倒しも 立ちはだかる「予算の壁」

産経新聞 5/17(水) 7:55配信

 北朝鮮の弾道ミサイルの脅威増大を受け、政府は新たなミサイル防衛(MD)システムの導入に向けた検討を進めている。イージス艦の迎撃システムの地上配備型である「イージス・アショア」が有力視され、稲田朋美防衛相は16日、中期防衛力整備計画(中期防)の前倒し論も踏まえた検討を行う考えを示した。ただ、予算の壁が立ちはだかる。導入には1千億円規模の巨額コストが見込まれるだけに、防衛費の大幅増が欠かせなくなっている。(千葉倫之)

 稲田氏は記者会見で「中期防の前倒しだとか新たな装備を急ぐべきだとか、さまざまな意見がある。どうすれば万全を期すことができるかしっかり検討したい」と述べ、前向きに取り組む考えを示した。

 防衛省は来年度までの5カ年の中期防に沿って主要装備品を取得している。新MDシステムを来年度から予算化するには次期計画を1年前倒しして取得を明記する必要があり、自民党の国防関係議員らが強く求めている。

 防衛省もこれと並行する形で検討を進めている。

 新装備では地上配備型イージス・システムに加え、米国が4月から韓国に配備したTHAAD(高高度防衛ミサイル)も候補にのぼる。費用面などからイージス・アショアを推す声が高まっているが、運用を想定するのは現在海上自衛隊のイージス艦が運用する中距離ミサイル「SM3」。迎撃ミサイルの種類を増やせば増やすほど効率が上がるとの見方もあり、THAADを推す声も根強い。

 問題は取得コストだ。イージス・アショアは約800億円との試算があるが、政府関係者は「初期費用だけでも800億円では済まない」との見方を示す。THAADになると試算で1250億円超になる。配置場所の選定や部隊の人員といった要素を考えると、さらにコストは膨らむ。

 現行の中期防は平成26~30年度の防衛関係予算を総額24兆6700億円としている。年平均で0・8%ずつ増額する計算だが、「この程度では以前に買った装備の借金返しにも足りない」(防衛省幹部)という。

 こうした状況から、政府内では新MDの結論を急ぐべきではないとの慎重論も根強い。防衛省は8月末の来年度予算案の概算要求をにらみ、6月にも方向性を出す構えだが、防衛省では「最後は官邸の政治判断だ」(幹部)との声があがる。

最終更新:5/17(水) 9:38

産経新聞