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現職に相次ぐ逆風=実績訴えるも苦戦―イラン大統領選

時事通信 5/17(水) 16:27配信

 【テヘラン時事】19日に投票を控えたイラン大統領選は、対欧米協調を重視する保守穏健派ロウハニ大統領(68)が再選されるかが焦点だ。

保守強硬派候補が撤退=現職ロウハニ師に逆風-イラン大統領選

 核問題で科された国際社会による制裁の解除と、原油増産に伴う経済立て直しを軌道に乗せた実績にもかかわらず、対立候補のライシ前検事総長(56)ら保守強硬派からは批判が強い。さらに大統領にも想定外の逆風が相次ぎ、苦戦を強いられている。

 選挙戦さなかの5月初旬、北東部ゴレスタン州の炭鉱でのガス爆発で43人が死亡。急きょ現地を訪れたロウハニ大統領を乗せた車が群衆に囲まれる騒ぎになった。大統領は「事故の責任者を必ず処罰する」と約束したが、劣悪な労働条件の改善、給与未払いの解消などを訴える猛抗議にさらされ、思わぬ「失点」となった。

 イラン経済は統計上、2016年1月の制裁解除後は堅調だ。国際通貨基金(IMF)によると、15年にマイナス1.8%だった経済成長率は16年に6.6%に急回復。支えたのは世界4位の確認埋蔵量を誇る原油で、16年1月と17年3月を比べると294万バレルから379万バレルに大幅に増産された。

 大統領は「今後4年で核関連以外のすべての制裁解除に全力を挙げ、イランの威厳を取り戻す」と強調。首都テヘランでレンタカー会社を経営するマフムード・エデユオンさん(58)は「制裁解除で外国人の利用も増え、収入は前年比10%増だ」と現政権を評価する。

 しかし、失業率は12.5%と高止まりし、若年層では20%超。制裁解除の恩恵が広がらず、社会の不公正と格差を解消できないとの不満が消えない。16日に強硬派支持者の集会に参加したモハマドさん(55)は「(大統領は)汚職対策が不十分」と手厳しい。

 1月には大統領などの要職を歴任した穏健派の重鎮ラフサンジャニ師が死去。強硬派の反対を押し切って欧米との関係改善を目指したロウハニ大統領は後ろ盾を失い、強硬派の攻勢を招いた。

 イランでは昨年、国会議員選と最高指導者を選出する専門家会議選で、いずれも大統領を支持する穏健派が躍進した。大統領は「経済を発展させたいなら、(革命防衛隊などの)治安・政治組織を経済に関与させるな」と異例の強い口調で強硬派批判を繰り返す。これに対し、既得権益を脅かされかねない強硬派は15日にライシ師に候補者を一本化。ロウハニ師優位とされた選挙戦は一転、接戦の様相を呈している。 

最終更新:5/17(水) 22:40

時事通信