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米抜きTPPに揺れるアジア

産経新聞 5/17(水) 7:55配信

 ■マレーシア、慎重姿勢崩さず/中国、「主導的参加」も

 【シンガポール=吉村英輝、上海=河崎真澄】21日にベトナムで開かれる環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)閣僚会合をにらみ、アジア各国の思惑が交錯している。日本などが米国抜きの11カ国による早期発効を目指す一方、米市場での商機拡大を期待していたマレーシアなどは、慎重姿勢を崩さない。中国は米離脱の間隙を突く形でのTPP参画も視野に入れ、会合の行方に強い関心を寄せる。

 マレーシアのムスタパ貿易産業相は3月、TPPを推進するか「態度は保留中」としながら、あくまでTPP参加理由が「米国市場への足がかりにある」として、米国抜きの協定への参加に否定的な姿勢を改めて強調した。ただ、閣僚会合での意見交換には意欲を見せ、米国の欠落を埋めるため「他国をTPPへ含めるかも議題だ」と述べ、その対象国として中国や韓国、ロシアなどを挙げた。

 マレーシアはマレー系や先住民を優遇する「ブミプトラ政策」を掲げるが、TPPの国営企業や政府調達の改革は、同政策に影響を与えかねない。それでも参加を決断したのは、タイなど周辺国との輸出競争にさらされる中、TPPによる米国市場獲得の優位性を期待したためだ。

 共産党一党支配が続くベトナムも、国営企業改革などが迫られるTPP参加を決めたのは「米国と中国の間で安全保障のバランスをとるため」(外交筋)とされる。だが、米離脱で参加理由は薄れ、南シナ海の領有権問題などで対立しながらも、経済面では中国との結びつきを強めている。

 その中国が、ベトナムを開催国とする閣僚会合に強い関心を示している。TPPを「中国包囲網」と懸念してきたが、米国の離脱で政治的意図は消失したと判断。閣僚会合の進展によっては、「中国がTPPに主導的な立場で参加を模索する可能性がでてきた」(中国の経済学者)という。

 中国はかつて、日米が中心だったTPP交渉を中国主導の国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への対抗軸ととらえて、「経済冷戦構造」に対する警戒を強めていた。

 だが、トランプ米大統領によるTPP離脱の決定で方針を転換。最近ではTPPのルールが、「硬直化した中国国内の経済構造を改革する“外圧”にもなりうる」(経済学者)との前向きな見方まで出ていた。

 ただ、TPPの既存ルールで市場開放を進めることは、農業分野などで必ずしもプラスにならない。世界第2の経済規模を武器に、米国の抜けた穴を埋めながら、TPPの貿易ルールを中国主導に塗り替える戦術を練っている。チリやペルーなど、TPPへの中国の参加を求める参加国との連携がカギとなる。

 習近平国家主席は1月、スイスでの世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で「保護貿易主義に強く反対する」と述べ、自由貿易のリーダーとして米国に取って代わる意思まで強調した。あくまで「中国主導型」との条件つきだが、国際組織で主導権を奪う考えだ。

最終更新:5/17(水) 7:55

産経新聞