ここから本文です

黒田総裁「日銀は十分な手段持つ」 出口戦略の不安払拭

産経新聞 5/17(水) 7:55配信

 日銀の黒田東彦総裁は16日、東京都内の会合で、大規模な金融緩和を終わらせる「出口戦略」について、「日銀は十分な手段を持っている」と強調した。市場では出口の局面で金利が急騰し、「当座預金」と呼ぶ日銀の口座にお金を預けている銀行への利払いが膨らんで日銀の財務悪化などの副作用を指摘する発言が相次いでいる。黒田総裁の発言はこうした不安を払拭する狙いとみられる。

 「短期金利のコントロールと中央銀行のバランスシート(貸借対照表)をどうマネジメントするか。どの順番で対処するかが大事」

 黒田総裁はこう指摘し、これまで「慎重に検討する」としてきた出口政策について一歩踏み込んだ。

 米ウォールストリート・ジャーナル紙が主催したイベントで発言。来年4月に任期を終える黒田総裁は、司会者から「誰が総裁になっても出口戦略は可能か」と問われ、「その通り」と述べた。また、既に金融政策の正常化に歩み始めている米連邦準備制度理事会(FRB)について「非常に興味深く、良い参考になるかもしれない」との見解を示した。

 日銀は現在、年80兆円のペースで国債を買い増しており、国債発行残高に占める保有割合は4割を超えている。出口の段階で国債を売却すれば、金利が上昇(価格が低下)するため、金融機関への利払いが膨らむほか、保有国債の含み損も発生しかねず、日銀が赤字決算に陥る恐れも指摘されている。

 さらに、物価が日銀の目標である2%に全く届かない段階で、市場が金融緩和の出口を意識してしまうと、日銀の金利操作が難しくなる恐れもある。このため、日銀は具体的な出口戦略を公表しづらいのが実情だ。

 黒田総裁は「必要があれば追加的な金融緩和措置を講じる」と強調した上で、市場に出回る国債が少なくなっている分、今後は少額の買い入れでも「金利を引き下げることができる」と説明した。だが、金利のコントロールが難しくなれば、金融政策の軌道修正を迫られる恐れもある。(飯田耕司)

最終更新:5/17(水) 7:55

産経新聞