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稀勢の里、初の金星配給 遠藤の反撃になすすべなく

朝日新聞デジタル 5/17(水) 21:56配信

(17日、大相撲夏場所4日目)

 土俵下、東方のたまり席に突っ込んだ稀勢の里は動きを止め、宙をみつめた。初めての金星配給。一つの勝負のあやがあった。

【写真】遠藤に敗れ2敗目の稀勢の里=恵原弘太郎撮影

 立ち合いからやや押し込まれた位置で、右の張り手が遠藤のほおをとらえた。遠藤が滑るように右ひざからガクッと落ちる。「危ない、と思いました。向こうは『勝負あった』と思ったかもしれない」と遠藤。

 しかし、今年初場所時点から体重が9キロ増えた稀勢の里のおなかに遠藤の頭が引っかかる格好になり、遠藤は生き残った。

 そこからの横綱は、突き上げるように始まった遠藤の反撃になされるがまま。苦し紛れのはたきも不発に終わり、押し出された。

 横綱はほぼ無言。あの瞬間、油断はあったかどうかも言葉にしなかった。

 立ち合いから足が出ていたのは遠藤の方だ。八角理事長(元横綱北勝海)は言った。「押し込んでの引きなら、遠藤はそのまま落ちる。(横綱の)腰が高いから押し込まれている」

 大関時代は取りこぼしが多かった稀勢の里だが、新横綱だった春場所は平幕に8連勝。けがを抱える今場所も、2人の平幕の挑戦を退けていた。この日勝って、新横綱場所からの対平幕戦を11連勝とすれば、15日制が定着した1949年夏場所以降では6位の千代の山に並ぶところだった。

 稀勢の里の意識は無論、そこにない。横綱の責務として口にする「優勝争い」が遠ざかった事実がただ、重いはずだ。(鈴木健輔)

朝日新聞社

最終更新:5/17(水) 21:56

朝日新聞デジタル