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<外貨建て資産>増加、50兆円超 国内の超低金利嫌い

毎日新聞 5/17(水) 21:35配信

 家計が保有する外貨建ての金融資産が増加している。2016年12月末の残高は前年末比3%増の50兆6000億円となり、15年6月末以来1年半ぶりに50兆円を超えた。米大統領選後の世界的な景気回復期待に加え、国内の超低金利を嫌って利回りの良い海外資産にお金が向かっていることが背景にあるとみられる。為替リスクを恐れて国内にとどまっていた家計資金の海外シフトが本格化するか、注目される。

 日銀が四半期ごとに公表する資金循環統計を基に大和総研が推計した。16年12月末の外貨建て資産の内訳は、投資信託約28兆7000億円▽外国株式や外国債券などの対外証券投資約16兆5000億円▽外貨預金約5兆4000億円--だった。

 外貨建て資産は07年9月末に過去最高の約54兆円に達した後、リーマン・ショック後の08年12月末には約32兆円まで落ち込んだ。12年ごろからは日銀の大規模金融緩和などによる円安進行で回復が進んだが、16年6月末には英国の欧州連合(EU)離脱決定などの影響で46兆円台まで減少していた。

 今回の「50兆円超え」の特徴は、円安効果に頼っていない点だ。16年末の円相場は1ドル=117円で、15年末比で2・8%の円高・ドル安となった。円高になると、外貨を円換算した資産の金額は減少する。このため、16年末の外貨資産の増加は、円高に伴う目減り分を補うほどに、家計の保有が大幅に増えたことを意味する。

 最大の原動力が、個人の投資心理を反映しやすいとされる外国株式や債券などの対外証券投資の増加だ。16年前半は売却や償還額が新規投資額を上回っていたが、16年9月末に流入超に転じ、年間では約1兆円増加した。昨年11月の米大統領選で大規模減税や投資を掲げるトランプ大統領が勝利したことで世界経済の成長期待が高まり、海外金融商品にお金が流れ込んだ。

 16年2月に導入された日銀のマイナス金利で、国内の金融資産の利回りが一段と低下したことも、より高い利回りが見込める外貨建て資産へのシフトを後押しした。生命保険各社は、「一時払い終身保険」などで円建て商品の販売停止・縮小に相次いで踏み切る一方で、外貨建ての販売に力を入れている。第一生命の外貨建て年金と一時払い終身(いずれも定額)の16年度の保険料収入は前年度比約17%増、日本生命の外貨建て保険も約25%の伸びとなった。

 大和総研の土屋貴裕・主任研究員は「米国の利上げと日本の超低金利環境の継続で金利差は拡大する方向で、家計の外貨建て資産は今後も増加が予想される」と指摘。「銀行預金に滞留しているお金が、どこまでリスクを取って海外投資に振り向けられるかが注目される」としている。【松本尚也】

最終更新:5/17(水) 21:43

毎日新聞