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元お笑い芸人の警官、寸劇で特殊詐欺防ぐ 経験生かして“座長”に就任

産経新聞 5/17(水) 15:12配信

 吉本興業の元お笑い芸人という異色の経歴を持つ警察官が大阪府警にいる。黒山署地域課の高道大輔巡査(29)。芸人時代に磨いた話術を見込まれ、同署の若手警察官が今月結成した「黒山劇団」の“座長”に就任した。20日に同府大阪狭山市内で開かれる集会で、特殊詐欺の手口を紹介する寸劇を初披露する予定で、「再デビュー」に向けて練習を重ねている。

 「出だしの会話はもっとシンプルに」

 「オチは分かりやすくスパーンといきましょう」

 堺市美原区の黒山署近くの警察施設で16日に行われた黒山劇団の練習。高道巡査は、ほかの若手警察官3人とともに、還付金詐欺への注意を呼びかける約15分の寸劇のリハーサルをしながら、元芸人らしいアドバイスを随所で飛ばした。

 「単に笑ってもらうだけでなく、詐欺の手口をちゃんと理解してもらわなくてはいけない。バランスが難しい」。舞台に日々立っていた過去を思い出しながら試行錯誤を重ねている。

 高道巡査は同府八尾市出身。大学4年だった平成21年、NSC(吉本総合芸能学院)に通い始め、高校時代の同級生と結成したお笑いコンビ「中張(なかはり)又張(またはり)」のツッコミ担当として吉本興業からデビュー。劇場でのライブを地道に重ね、徐々にテレビやラジオの仕事が増えた。

 ようやく芸人の活動が軌道に乗ってきた25年夏、転機が訪れた。

 仕事を終えて大阪・ミナミの街を歩いていると、見知らぬ女性が若い男に自転車を投げられるトラブルに巻き込まれていた。とっさに助けに入って女性は逃げ出すことができたが、逆上した男に何発も殴られ、最終的に自身もその場から逃げ出してしまった。

 「何もできず悔しかった。平気で一般人に暴力を振るう人を許せず、安全なまちづくりに貢献したい」と警察官を志すようになった。25年12月にコンビを解散し、芸人を引退した。

 以降の約1年間は、警察官の採用試験に向けた勉強や体力作りに費やした。府警が26年春、特徴的な経歴をPRできる「一芸」の自己推薦枠を導入したため、同年秋にチャレンジしたところ、採用された。

 警察学校を卒業後の27年9月末に黒山署に赴任し、普段は交番で勤務する。道を聞かれたときも、芸人時代から続ける「笑顔で分かりやすく」をモットーに対応している。「明るく親切な対応で誰からも愛される警察官になりたい」。寸劇だけでなく、日々の職務にも元芸人としての経験を生かしている。

最終更新:5/17(水) 16:13

産経新聞