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<東京五輪>経費分担、最大6700億円宙に 3者協議難航

毎日新聞 5/17(水) 22:05配信

 ◇国・組織委・都 背景に招致時試算の甘さ

 2020年東京五輪・パラリンピックの大会経費分担問題は、大会組織委員会が負担分を5000億円から6000億円に引き上げることを表明したものの、総額約1兆6000億~約1兆8000億円の約3分の1にあたる約4700億~約6700億円の分担が決まっていない。東京都の小池百合子知事は「5月中に分担の大枠を示す」と明言しているが、国と組織委、都の3者の協議は難航している。

 組織委は昨年12月、大会経費を会場関係(ハード)3項目、大会関係(ソフト)7項目の計10項目に分け、金額を提示した。このうち、分担が決まっているのは、国と都が負担する新国立競技場などの恒久施設整備費3500億円と、都と組織委が大半を負担する仮設整備費2800億円の2項目のみだ。

 他の8項目については組織委の分担は示されているが、国と都、関係自治体は未定。1600億円と最も額が大きいセキュリティー費についても「テロ対策上、費用は大会経費から切り離し、国が責任を持つべきだ」との意見もあり、抜本的な調整が必要になっている。

 分担が決まらない背景には、招致時に作成した開催計画「立候補ファイル」の試算の甘さがある。そもそもファイルで7340億円とされた大会経費は増え続け、最終的に2倍超にまで膨らんだ。小池知事は、昨年7月の都知事選で公約に掲げた「大会経費の見直し」に従って各項目の精査を指示しており、こうした事情などから3者協議自体も進んでいなかった。

 小池知事が大会経費の精査にこだわる理由も、ファイルにある。ファイルでは「大会経費は組織委が負担し、資金不足に陥った際には都が補填(ほてん)する」と明記されており、原則論では組織委の収入6000億円を除いた約1兆~約1兆2000億円は都が負担することになるからだ。大会では都外の6道県で競技が開催されることになっているが、ファイルに基づけば関係自治体に負担を求めるのは難しい。一方で、都外の開催費用に都税を投入することについては、都民の理解を得られる理屈と丁寧な説明が必要だ。

 小池知事は11日の安倍晋三首相との面談で、都外の開催費用1600億円のうち500億円の仮設整備費用全額を負担し、当初の約9倍の1200億円に跳ね上がったパラリンピック経費の4分の1を国が負担することで、一旦は合意した。しかし、庁内には依然として都外の開催費用負担について「都民の理解を得られない」との意見も根強く、16日には組織委が仮設整備費用の250億円を負担することを表明するなど決定も流動的だ。

 都には今年3月末時点で、使途が決まっていない3788億円の「オリンピック・パラリンピック開催準備基金」が残されている。政府関係者からは「関係自治体が『立候補ファイルを順守せよ』と訴えている以上、開催都市の基金を投入するのも一つの案だ」との指摘もあり、限られた時間で関係自治体を含めた4者の考えの隔たりをどのように埋めるのかが焦点となる。【柳澤一男、芳賀竜也】

最終更新:5/18(木) 1:24

毎日新聞