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<東海・津波避難>67市町村 夜間訓練8割が未実施

毎日新聞 5/17(水) 23:07配信

 ◇総務省中部管区行政評価局が調査

 総務省中部管区行政評価局は17日、南海トラフ地震が発生した際に津波による浸水被害が想定される愛知、静岡、三重の3県計67市町村の避難対策についての調査結果を発表した。半数以上の自治体で高齢者や障害者などの「要支援者」を対象とした避難訓練が未実施だったほか、約8割の自治体では夜間の津波避難訓練をしていないことが明らかになった。

 同局の山根健評価監視官は、要支援者や夜間の避難対策について「不十分であり、これからの課題として進めていく事柄だと認識している」と指摘した。調査は2016年12月~17年3月、内閣府や各県が津波で浸水被害を想定する沿岸部や河川流域の67市町村に対して書面などで実施した。

 その結果、要支援者の避難訓練は、38自治体(56.7%)が未実施だった。訓練中に転倒し、負傷する可能性があることなどが理由という。災害時に民生委員らが居宅を訪問するなど個々の要支援者の避難計画については、40自治体(59.7%)が策定していなかった。一方、要支援者名簿は、63自治体(94%)で作成済みだった。

 夜間の津波避難対策については、55自治体(82.1%)で避難訓練をしていなかった。また、ライトなどで夜間の避難標識の視認性を確保する対策については、避難場所の標識を設置している27自治体のうち、17自治体で未実施だったほか、避難誘導標識を設置する32自治体のうち、16自治体で対策が取られていなかった。

 また、想定される避難者数に対応した避難場所が確保できていると回答したのは28自治体(41.8%)だったほか、15自治体(22・4%)では南海トラフ地震の最大クラスを想定した津波ハザードマップ(被害予測地図)が未作製だった。【山衛守剛】

 ◇町内会に温度差も

 名古屋市は、港や南など7区で津波による浸水被害が想定されているが、各区の対応にはばらつきがある。

 夜間の津波避難訓練については「人が集まりにくい」などの理由で一部にとどまっている。南区では、昨年度2学区で実施し、うち1学区では夜間時の避難経路の確認に加え、実際の避難所に宿泊してもらった。担当者は「暗い道を歩き、硬い床で寝てもらう経験は大きい」と話す。未実施の港区では「昼夜を問わず普段からの意識付けが必要」とし、住民と区職員の勉強会などで複数の避難場所の確認などを呼びかけているという。

 要支援者の避難対策は2007年から全市で取り組みを始めているが、約6割の町内会・自治会で名簿を作成していない。名簿に基づく個別の避難計画については全体の2割にとどまるという。市地域防災室は「『うちは大丈夫』と言う町内会もあり、温度差がある」と話している。

 静岡県によると、県内では沿岸の21市町で毎年3月に津波避難訓練を実施しているが、夜間に行っているのはそのうち半分以下という。17日に公表された結果を受け、県危機情報課の藤田和久課長は「地震は昼間に起きるとは限らない。今回の結果を踏まえ、県内の自治体に夜間訓練の重要性を訴えていきたい」と話した。【三上剛輝、井上知大】

最終更新:5/17(水) 23:07

毎日新聞