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「強制参加の社員旅行」なのに「有休使って」…社長からの指示に従う必要はある?

5/17(水) 10:24配信

弁護士ドットコム

社員旅行で有給休暇を使うよう強制された。応じる必要はあるのか? インターネット上のQ&Aサイトに、そんな疑問が投稿された。

投稿者によると、社員旅行は金曜日から日曜日までの2泊3日。参加はほぼ強制で、以前までは出勤日に重なった部分は公休扱いだった。今回も金曜日が公休になると思いきや、直前になって社長から「金曜は強制的に有休使用」と言われたという。

社長は有休使用について、「会社としては当然の行為。事前に説明する必要もないし、その気もなかった。文句を言いたいなら旅行に来なくていい」と主張。

投稿者は「事前に『社員旅行は有休使用』と聞いていたなら、もう少し計算して有給使用をしたのに」と納得できない様子だが、直前だったためにキャンセルをしても、料金は戻らないため、参加するつもりだという。

ほぼ強制参加の社員旅行に「有休をあてろ」という会社の指示に、法的な問題はないのだろうか。島田度弁護士に聞いた。

●社員旅行の強制の度合いが問題となる

島田弁護士は「社員旅行への参加は『ほぼ強制』とのことですが、この『ほぼ強制』の程度が問題となります」と話す。

そもそも今回の投稿にあるような社員旅行は、強制参加にあたるのだろうか。

「社長はたしかに『文句を言いたいなら旅行に来なくていい』と言っており、社員旅行に参加しない自由を認めているようにもみえます。しかし同時に『金曜は強制的に有休使用』『会社としては当然の行為』などとも言っていることから、社員旅行への参加は事実上の強制であると認定される可能性が高そうです」

続けて、参加が強制であれば、この社員旅行が「業務命令による出勤」になると指摘する。

「業務命令による出勤であれば、有給休暇を取得するという選択肢が出てくる余地はそもそもありません。『休暇』ではなく『勤務』になるからです。それどころか、旅行期間中の土曜日、日曜日についても、休日出勤として時間外手当の発生が問題となってくる可能性すらあります」

●社員旅行への参加が本当に自由だった場合は?

今回のケースではないが、仮に最初から「自由参加で」と徹底されている場合だったら、どうなったのか。

「その場合には、通常の出勤日である金曜日に仕事を休んで社員旅行に参加することになりますから、有給休暇の取得が必要となるのが原則です」

ほとんどの社員が社員旅行に参加して、金曜日は会社に誰もいない状態になっているかもしれない。その場合でも有給休暇の取得が必要なのか。

「投稿者が1人で会社に出勤したとしても、事実上仕事ができない状態になっている可能性もあります。その場合、民法536条2項の『債権者(今回の場合は会社)の責めに帰すべき事由によって債務を履行すること(今回の場合は勤務すること)ができなくなったとき』にあたるとして、出勤しなくても賃金を請求することができる、と主張する余地も出てきそうです」

【取材協力弁護士】
島田 度(しまだ・わたる)弁護士
東京大学法学部卒業
札幌弁護士会所属
札幌市民オンブズマン 代表
いのちと健康をまもる北海道センター 理事
ブラック企業被害対策弁護団 北海道ブロック 事務局長
事務所名:たかさき法律事務所
事務所URL:http://www.law-takasaki.com/index.html

弁護士ドットコムニュース編集部