ここから本文です

大学新テスト、学校「どう教えたら」戸惑いも 塾「商機」と対応加速

西日本新聞 5/17(水) 10:16配信

 2020年度に迫る大学入試改革。文部科学省は16日に公表した新テストの検討状況で、英語に民間検定試験を導入し、従来の「読む」「聞く」に加え、「書く」「話す」の4技能を評価対象とする方針案を示した。学校現場からは歓迎の声とともに、受験対策への戸惑いも聞かれた。一方、学習塾業界は「商機」とみて対策を急ぐ。

 従来の大学入試センター試験では、英語の配点は「読む」を中心とした筆記が200点、「聞く」が50点。「書く」「話す」を加える文科省の狙いは、グローバル化を念頭に置いた「使える英語」の習得だ。九州のある県教育委員会担当者は「既定路線。学習指導要領に沿って教えれば対応可能だ」と話す。

 だが、学校現場では、これまでの受験対策が通用しなくなるとの不安も漏れる。福岡県内の中学2年生女子は「過去問も少なく、受験勉強が大変そう」。

「どうやって集団に教えるのか…」

 教える側も4技能の能力が問われる。文科省の調査では、九州の公立中高の英語教員で、英検準1級以上の資格を持つのは中学で25・5%、高校で55・1%にとどまる。

 九州北部の公立高校の女性英語教諭(32)は「教え方で特に心配なのはスピーキング。個別レッスンならともかく、どうやって集団に教えるのか…」。試験の具体的な中身が見えない中、授業のイメージをつかみ切れずにいる。

 民間の動きは加速する。入試改革を見据えて15年4月に開校した英語塾「キャタル薬院大通校」(福岡市)は帰国子女の講師陣が主に英作文指導に取り組む。通う児童、生徒は約150人。稲葉和也校長(49)は「ノウハウのない学習塾や、多忙で十分な指導ができない学校は対応が難しいだろう」とみる。

 学習塾の英進館(総本部・福岡市)の大学入試担当、西谷博史さん(45)も「新テストに対応できるカリキュラムを、より低学年の授業から組まなければならない」。後れを取れば淘汰(とうた)されるとの危機感も漂う。

 民間検定試験は検定料が1回約5千~約2万5千円、実施回数は年2~40回、会場数は全国12~約1万7千カ所とばらばら。家計の負担が増えたり、都市部か山村部かなど居住地によって有利、不利が出てくるケースもあり得る。

 福岡市で貧困世帯の学習支援を続ける男性中学教諭(57)は、所得による教育格差が強まることを懸念する。「塾通いも検定試験もお金が必要で、教育無償化に逆行しかねない。改革は貧困世帯の支援とセットで行われるべきだ」と力を込めた。

=2017/05/17付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:5/17(水) 10:16

西日本新聞