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最新作『光』で再びカンヌへ。河瀬直美監督の原点とその道のりとは?

5/17(水) 12:10配信

dmenu映画

カンヌの常連監督として知られる河瀬直美監督が、5月27日(土)公開の最新作『光』で、永瀬正敏と再びタッグを組んでカンヌに乗り込みます。本作でのパルムドール獲得なるかと世界中から注目を集める河瀬監督ですが、今日に至るまでの彼女の原点には何があるのでしょうか?今回は最新作『光』とともに現在に至るまでの河瀬直美監督の過去の作品をご紹介いたします。

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本作は、大切なものは目には見えないと教えてくれる

本作は弱視のカメラマン雅哉(永瀬正敏)と、映画の音声ガイドとして働く美佐子(水崎綾女)が戸惑いながらも惹かれあい、心を通わせていく姿を描いた至高のラブストーリーです。視力を失い続ける雅哉の葛藤を見守ることしかできない美佐子ですが、彼女もまた人生を手探りで生きる日々。その様子を繊細に描き出し、まさに河瀬監督の集大成とも言える仕上がりになりました。

劇中、雅哉の部屋に飾られる写真の数々は、実際に永瀬が撮影してきた作品を使用。永瀬自身写真家としての経験が活かされることで作品全体がよりリアルになっているのも、見所のひとつです。

前作『あん』(2015年)での出会いがきっかけに

本作で永瀬正敏が起用となったのは、前作『あん』(2015年)がきっかけだと、監督は語っています。同作でカンヌへ行ったときから、再び一緒に作品を作りたいと話していたとのこと。

このとき永瀬はどらやき店の雇われ店長に扮し、圧倒的な演技力で第40回報知映画賞において主演男優賞を獲得。また、監督自身も作品賞および監督賞に輝き、圧巻の結果をとなりました。

ハンセン病の偏見や差別という非常に厳しいテーマでしたが、永瀬をはじめ主演女優の樹木希林らが妙々たる演技でそれぞれの心の襞を丁寧に表現。多くの人たちの共感を呼び、さらに世界へと感動を届ける作品となりました。

ドキュメンタリーで磨かれた“人が生きる姿”を捉える力

これまでの河瀬作品の多くは、人間の生き方心情をよりリアルかつドラマチックに表現することで、映画の“娯楽”という側面を活かしています。『光』においても同様に雅哉が懸命に生きる様子は強く胸を打つものがあります。そこに至るまで彼女を研磨したものは、自身が撮り続けているドキュメンタリー作品にあるといえるのではないでしょうか。

処女作『私が強く興味をもったものを大きくFIXできりとる 』(1988年)は、ドキュメンタリー作品であり、タイトルは同時に彼女の映画への姿勢を表現しています。そして、写真評論家の西井一夫氏が亡くなるまでの2ヶ月間を記録した『追憶のダンス』(2002年)では、死を目の前にしても冷静にありのままの姿を映像に残しました。西井氏との間にある信頼は、作品の中に永遠に生き続け、多くの人へ生きることへのエールとして届くことでしょう。

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最終更新:5/17(水) 12:10
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