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書き込める電子海図、「飛鳥II」にて公開 外航船という特殊環境下、なるか世界規格

乗りものニュース 5/17(水) 20:34配信

次世代運航支援装置「J-Marine NeCST」公開

 日本郵船とそのグループ会社であるMTIおよび日本無線は2017年5月17日(水)、電子海図を含む航海情報を大型ディスプレイ上で管理、共有する運航支援装置「J-Marine NeCST(ネクスト)」を共同開発したと発表、同日、日本郵船グループのクルーズ客船「飛鳥II」にて2017年1月よりテスト運用中の同装置を公開しました。大型のタッチパネルディスプレイを使用し、従来の紙の海図と同じように、電子海図に手書きの情報を書き込んだり、距離を測ったりできることが特徴です。

【動画】「J-Marine NeCST」PV(7分14秒)

 これは従来の紙の海図に代わり、2018年までに国際航海に従事する500総トン以上の旅客船と3000総トン以上の貨物船に対し搭載が義務付けられている電子海図情報表示装置「ECDIS(エクディス)」の、ユーザーインターフェイスをカスタマイズし、各種機能を盛り込み、使い勝手を向上させたものです。「飛鳥II」のブリッジで実際の使用感をデモンストレーションした日本郵船の森岡丈知(たけとし)船長は、「直感的に使え、事前訓練は特にありません。説明書も特に必要としません」と話します。

 日本郵船によると、「ECDIS」における電子海図は従来の紙の海図と異なり、各種航海関連情報を手書き入力できず利便性の低さが課題になっていたそうです。これについて、自らも船長経験のある日本郵船の小山智之 常務経営委員は、「船長は紙の海図に『ここは漁船が多いから気を付けろ』とか、『ここまで来たら自分を呼べ』などと書き込みながら指示を出したりしてきたのですが、『ECDIS』ではそれができません。そこでまず、大きなディスプレイがほしい、というところから開発が始まりました」といいます。

ベテラン船長のノウハウも即座に手元へ

「J-Marine NeCST」について小山常務は、「開発していくうちに、もっといろいろなことができるということで、当社の運航船の、あらゆる国籍の船長の要望をぜんぶ織り込み、わがままをめいっぱいぶつけて、日本無線さんに開発していただきました。『こんなのがほしい』というものを全部入れていただいています」といいます。

 先述のようにその特徴のひとつである手書き入力機能や、航海計画立案の効率化と最適化を実現する気象、海象予測システムを始めとした各種システムとの連携はもちろん、国際条約や旅客の要望など船上業務を可視化するチェックリスト機能などを盛り込み、モバイル端末との連携も可能といいます。さらに、そうした手書き情報を含む各種情報のデジタル化により、船舶間および船陸間での迅速かつ正確な情報共有と集積も可能にしています。

 小山常務はまた、「たとえば、東京からシンガポールまでどのようなルートで行くのか、という計画のデータも残ります。実際に船が通った地点のデータも残ります。次にシンガポールへ向かう若手船長は、ベテラン船長の航海データをオンラインで即座に参照できます。そのデータはビッグデータとしてどんどん会社に蓄積されていきます。IOTという観点からも、優れた支援ツールです」とも話します。

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最終更新:5/17(水) 20:39

乗りものニュース