ここから本文です

チキンレース化で赤字の自治体も、転換期を迎える「ふるさと納税」

AbemaTIMES 5/17(水) 18:00配信

 自分が住んでいる地域ではなく、故郷や応援したい地域を選んでお金を寄付し、自治体によっては返礼品がもらえるという「ふるさと納税」制度。

 利用者は年々増加し、寄付金は2009年度に81億円程度だったものが、2016年度には1650億円を超えた。インターネットから簡単に納税できるのも魅力の1つであり、2016年にはふるさと納税について相談ができたり、各地域の返礼品を実際に見たりすることができるカフェもオープンした。さらに、銀座一丁目駅構内には「ふるさと納税自動販売機」というものまで設置されている。都心にいながら全国各地の地域限定飲料を楽しむことができ、気軽にふるさと納税を行える。

 そんな大人気の制度だが、今転換期を迎えているという。

 そもそも集まった寄付金はどのように使われているのか。ナイタイ和牛で有名な北海道の上士幌町(かみしほろちょう)では、2015年度には寄付金が14億円を超えた。集まった寄付金により、町認定こども園・ほろんの利用料が2016年から10年間完全無料になった。園内にある子ども達が読む絵本や、送り迎えのバスなども寄付金で購入。一見利用者にも自治体にも嬉しい制度であるようにみえるが、最近、ふるさと納税に「待った」の声が上がっている。

「現状を見ると、本来の趣旨を逸脱している。返礼品目当てで、ふるさと納税というお金を釣るみたいな、モノで釣るというような制度に成り果てている」(大村愛知県知事)
「ちょっとゆがんでいるように思う。国産品のインターネット購入と同じ状態になっている。しかもそれが節税策になっているのが一番の問題点だと思う」(石阪町田市長)

 このように、各自治体からは激化する返礼品競争を批判する声があがる。

 返礼品競争で問題になっているのは、「寄付金の奪い合い」「還元率問題」「チキンレース化」だ。納税者を獲得しようと自治体が豪華すぎる返礼品を用意しているという現状があり、インターネット上には還元率が表やグラフになって出ているため、選ぶ側からすると「高い方がよい」という心理が働いてしまう。また、中には還元率が100%を超える返礼品もあるという。止めると税収が減ってしまうため、自治体は抜け出せない状況にあり、まさに「チキンレース」の様相を呈している。

 実際に「納税者の動機アンケート」では、以下のような結果が出ている。(株式会社インテージリサーチ調べ)

1位 寄付の特典が魅力的だった(71.8%)
2位 税金が軽減される(47.8%)
3位 応援したい地域に貢献したい(20.4%)
4位 寄付金の使い道に賛同・共感(16.1%)
5位 自分のふるさとに貢献したい(12.0%)
6位 緑のある地域に貢献したい(11.1%)
7位 その他(0.8%)

 本来、地域に貢献したい・応援したいという思いから納税するはずが、返礼品目当ての納税となっている様子がわかる。実際にふるさと納税を行っている自治体のうち、上位20%の自治体だけで寄付金の4分の1を占めているのが現状だ。

 総務省は4月、このような状況を改善するために金銭に近いものや価格・資産価値が高いもの、調達価格が3割以上であるものを返礼品にすることを禁止するよう自治体に呼びかけた。通知後、自治体は「通知前の返礼品もあるので、今すぐには対応できないが、今後、準備が出来次第対応を進めていく」とコメント。それに対し総務省も「速やかに対応していただきたい。もし対応してもらえなければ、各団体に個別に発していく」と対応を示している。

1/2ページ

最終更新:5/17(水) 23:05

AbemaTIMES