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社説[復帰45年 振興の行方]次期計画 それが問題だ

沖縄タイムス 5/17(水) 7:45配信

 県は復帰の日の15日、「沖縄21世紀ビジョン基本計画」(2012~21年度)の改定案を了承した。

 子どもの貧困対策や大型MICE施設の整備による産業振興、クルーズ船の受け入れ体制の強化、雇用の質の改善などを盛り込んでいる。

 復帰40年にあたる12年、沖縄振興特別措置法が改正され、沖縄県の主体性に配慮した振興の仕組みが鳴り物入りでスタートした。

 大きく変わった点は二つ。

国が策定していた沖縄振興計画に代わって、県が主体的に振興計画を策定する仕組みができたこと。合わせて、従来の補助金に比べ使い道の自由度が高い一括交付金制度が導入されたこと、である。

 県が自ら策定した21世紀ビジョン基本計画は折り返し点を過ぎ、計画後期に入った。 現行計画が切れたあとの、22年4月以降の次期計画をどうするか。5年後の22年は、復帰50年という大きな節目の年にあたる。復帰50年にふさわしい新たな制度設計が必要であり、その議論を本格的に始める時期にきている。

 長く沖縄総合事務局に勤務し、国の振興施策に詳しい沖縄大学・沖縄国際大学特別研究員の宮田裕さんは、現状に対して否定的だ。

 「沖縄の振興開発は『償いの心』をベースにして国の責任で進められてきたが、行政改革によって沖縄開発庁が消滅し、内閣府沖縄担当部局が担うようになって、償いの要素が薄まり、原点が姿を変えつつある」

 安倍政権になって、いっそう変化が顕著だ。

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 宮田さんは指摘する。「基地問題とのリンク論が浮上し、官邸操縦型の沖縄振興に変わった。これはまさしく本質が崩れたことを意味する」

 復帰以来の高率補助制度や沖縄振興予算の一括計上方式が、沖縄振興を支えてきたことは否定できない。復帰50年以降も、このような制度を続けるのか。

 菅義偉官房長官は、本紙のインタビューに対し、22年度以降も高率補助制度や優遇税制を維持したい、との考えを明らかにした。

 ただし、高率補助の維持が、新基地建設を認める代償として持ち出されるとすれば、沖縄振興策は完全に本来の目的からはずれ、米軍再編交付金のような性格を帯びることになる。

 このような制度はいらない、と県がきっぱり拒否するのも、主体回復の一つの手である。その場合、高率補助や一括計上方式がなくなったあとの、行政の対応力や財政力が問われることになる。

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 沖縄経済と振興策をめぐっては、ネットを通してさまざまな誤解が広がっている。

 沖縄振興予算として(沖縄にだけ)3千億円が上乗せされているのだから基地を引き受けるのは当然ではないか、というのもその一つ。

 基地と振興のリンク論を断ち切ることなしに、このような誤解や俗論をなくすことはできない。

 どのような仕組みが必要か。ポスト復帰50年の振興のあり方について、県はゼロベースで議論を始めてほしい。

最終更新:5/17(水) 7:45

沖縄タイムス