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「福島の経験生きず」 高浜再稼働に滋賀への避難者ら

京都新聞 5/18(木) 9:41配信

 「国や電力会社は、国民に対して、安全に責任を持つ自覚はあるのか」。福島第1原発の事故を受けて福島県相馬市から滋賀県栗東市に避難している佐藤勝十志さん(56)は17日、高浜原発再稼働に危機感を募らせた。
 事故で得意先が移転し、経営していた設備業の継続が難しくなり、抱えた負債で自宅を手放した。現在、訴訟や裁判外紛争解決手続き(ADR)で国や東京電力に賠償や慰謝料を求めているが、家族や自身の体調不良が重なり、日々の暮らしは厳しい。
 それでも「原発や震災を考える一助になれば」と人前で自身の経験を語る。「立地県ではないが原発に近い滋賀は、事故になれば多くの自主避難者が出るのではないか」と不安視する。
 前復興相の「東北で良かった」発言など、今も失望する事態が続く。「あれほどの事故を経験しながら、国民の生活や安全を軽視する姿勢は全く変わっていない。こんな状態で再稼働していいのか」と憂う。
 「あきれはてた。待ってましたとばかりの再稼働で許し難い」。南相馬市から大津市に避難する青田勝彦さん(75)も同日、憤りをあらわにした。大阪高裁が大津地裁決定を覆して再稼働を認めた高浜原発3、4号機の仮処分で申立人に名を連ねた。「地裁決定が示した原発への懸念は何も解決していない」と語気を強める。
 1975年には福島第2原発1号機の設置許可取り消し訴訟の原告となり、最高裁まで争った。「一審の最中にスリーマイルアイランド、二審でチェルノブイリの事故があったが、判決には反映されなかった。今回も福島の経験が生かされていない」と語った。

最終更新:5/18(木) 9:41

京都新聞