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名物テレビマンが語る 所ジョージは“面白がり方”が天才的

日刊ゲンダイDIGITAL 5/18(木) 9:26配信

 日本テレビ入局以来30年にわたり、ビートたけし、明石家さんま、所ジョージと仕事を共にした名物プロデューサーの吉川圭三氏。ビッグ3と間近で接してきたテレビマンが“凄さ”の理由を解き明かす。

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 所ジョージさんと仕事でご一緒するようになったのは所さんが26歳のころ。今62歳の所さんにお会いしても印象が全く変わらないのは、やはり所さんが趣味の世界にいるのが大きいのではないかと思います。それだけでなく、所さんは自分の趣味をブランド化してしまった。自宅を世田谷ベースと命名し、バイクに、農業に日々好きなものに夢中、家が大好きで、車の動線が悪いお台場のスタジオは仕事を引き受けないなど、さまざまなルールがありましたが、そのこだわりが醸し出す雰囲気が「大物殺し」につながっているんじゃないかと僕は思います。

 所さんは、ハイレベルなホメ上手で、“面白がり方”が天才的。ホメるのは一瞬、本質を突く一言を発するのでイチコロにしてしまう。たけしさんとの名コンビはもちろん、宮崎駿など、名だたる方が所さんのファンで、「この前、大江健三郎さんにファンだと声をかけられた」と驚きもせずに話す。

■世界のクロサワも演技指導一切なし

 黒沢明監督も所さんのファンで、映画「まあだだよ」(93年)に起用され、他の役者さんには細かに注文を出していても、所さんは演技指導は一切なし。「所さんには、気持ちよく演じてほしかったんだよ」と言わしめるほどでした。

 そのうえ相手に話しやすいスペースを作る才能が天才的。面白くなる“間”というか、“空間”を作ってくれるので、一緒に仕事した相手が「話しやすい、居心地がいい」のです。この魔法のおかげで我々は何度救われたことか。ある番組で横山やすしさんがゲストで登場した日のこと。テレビ局の玄関まで迎えに行くなり、やすし師匠の機嫌が悪く、「もしかしたら、やすし師匠が激怒するか、番組途中で退席するかも……」というほどのヒリヒリする場面が、いつのまにか軌道修正され、最終的にはやすし師匠は上機嫌で帰って行ったこともありました。

 たけしさんは当時、収録に来ない、遅れるなんてこともありましたが(内容の必要性、自分でなくてもいいのでは、という疑問も含まれていたらしい)、所さんと一緒の時はそういった心配はありませんでした。

 たけしさんが本領を発揮するのはまさに所マジックあってこそ。タモリさんにも通ずるマニアックなものに対する面白がり方も天才的で、たけし&所のキャッキャしている姿は、実は所さんが作っているのであって、たけしさんをうまく操っている所さんの姿が面白いのです。(次回は「明石家さんま」)

▽1957年、東京都生まれ。82年、日本テレビに入局し、「世界まる見え!テレビ特捜部」「恋のから騒ぎ」「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」などを手掛ける。13年、日本テレビからドワンゴへ出向、現在、ドワンゴ会長室付エグゼクティブプロデューサーを務める。近著に「たけし、さんま、所の『すごい』仕事現場」(小学館)がある。

最終更新:5/18(木) 17:58

日刊ゲンダイDIGITAL