ここから本文です

廃止されたはずのカースト制の名残り「ナット」 艶やかな衣装の裏には

6/4(日) 14:10配信

THE PAGE

 城の中庭で、艶やかな衣装に身を包んだ女性たちが舞う。

 「ナット」というカーストの女性たちだ。身分制度であるカーストは法的にはすでに廃止されたが、現在も結婚や仕事に関して日常生活に深く根付いている。ナットはもともと放牧民だが、ダンスやジャグリングの芸にも秀でた、ヨーロッパでいうジプシーのような人々だ。封建時代は、マハラジャの前や宴会の席でその芸を披露する、いわばエンターテイナーたちであった。

フォトジャーナル<インド~偉大なる領主マハラジャ>- 高橋邦典 第45回

 時代は変わり、王や貴族がいなくなった今、ナットは家畜の売り買いの仕事に関わる者が多いが、大半が物乞いや、女性は娼婦としてなんとか生計を立てる貧困層でもある。デリーやムンバイなどの大都市のダンス・バーに、踊り子として出稼ぎに出る女性も少なくない。

 以前ラジャスタン州の片田舎で、そんなナットの女性たちを撮影したことがあった。7人の姉妹たちとともに、売春婦として家族の暮らしを支えてきたという40代の女性が胸を張って言ったことを、今でも覚えている。

 「わたしたちが働いてきたおかげで、まともな家を建てることができたのよ」

 色艶やかなで煌びやかな衣装の裏には、様々な人生が隠されている。

(2016年4月/2009年11月撮影)

※この記事はTHE PAGEの写真家・高橋邦典氏による連載「フォト・ジャーナル<インド~偉大なる領主マハラジャ>」の一部を抜粋したものです。

最終更新:6/9(金) 6:02
THE PAGE