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書籍・マンガの海賊版サイト「フリーブックス」被害額は月100億円

5/18(木) 17:10配信

ZUU online

5月3日に閉鎖された漫画や書籍の海賊版サイト「Free Books(フリーブックス)」の被害額が、閉鎖までの1カ月で100億円に上ることが分かった。産経新聞が報じている。後を絶たない海賊版の被害に出版業界は頭を悩ませている。

■フリーブックスは氷山の一角

報道によると、フリーブックスの3月中旬から4月中旬のアクセス数は1750万件とされ、これに基づく被害額は100億円に上ると試算されている。

フリーブックスは2016年12月頃に開設されたと見られ、5万点もの作品が無料で公開されていた。大手出版社を中心に削除要請を行っていたが、次第に応じなくなったという。法的措置の検討に入り、ブルガリア、ウクライナ、オランダの3カ国にサーバーがある事を突き止めた矢先の5月3日、サイトは突然閉鎖された。外部からのサーバー攻撃を受けた可能性もあるとされる。

サイト閉鎖で話が片付いたわけでは無い。サイト再開の不安も付きまとう中、出版社側は損害賠償請求等の法的措置を検討している。警視庁も情報収集を行っているが、運営者の特定は難航する可能性もある。フリーブックスは無料公開されており広告もほとんどない為、運営目的が不明であるといった点も出版業界の不安を煽っている。

サイト利用者の意識にも問題がある。インターネット上ではサイト閉鎖を嘆く声も多く見られ、中にはフリーブックスに代わるサイトを紹介する者までいる。海賊版による被害は後を絶たず、フリーブックスの問題も氷山の一角に過ぎない。

■「CD不況」に苦しむ音楽業界の事例が参考に?

「出版不況」が叫ばれて久しい出版業界であるが、その要因の一つに海賊版の横行があると考えられる。日本書籍出版協会と電通総研が行った試算によると、書籍の海賊版による被害額は2011年に270億円に上り、その内224億円は漫画であるとされる。フリーブックスの被害額を考えると、被害規模は更に大きくなっている可能性が高い。

出版業界の現状は「CD不況」に苦しむ音楽業界に通ずるものがある。日本レコード協会によると、CDの生産金額は2007年の3272億円から2016年の1749億円と10年で概ね半減している。違法ダウンロードや動画共有サイトへの違法投稿も「CD不況」の要因となっている。

「CD不況」にも関わらず、エイベックス・グループ・ホールディングス <7860> やソニー・ミュージック・エンターテイメント等、国内大手レコード会社の売上高はここ10年で増加している。CDに見切りを付け、定額配信サービスやライブによる収益を伸ばしていく戦略が功を奏した。映像配信等、音楽以外の事業への投資も伸ばしている。

音楽業界の事例が当てはまるとは限らないが、出版業界もこうした動きを模索する必要性に迫られている事は確かであろう。米Amazonの「Kindle Unlimited」など、定額書籍配信サービスもスタートしており、今後こうした市場の伸びが期待される。定額で読める書籍数が増えれば、海賊版の抑止に繋がる可能性もある。

音楽業界でも小売分野は苦戦が続いている点にも注意したい。英HMVが2013年に経営破綻する等、小売分野では有料音楽配信サービスの隆盛に対応出来ていない企業が多い。出版業界でも定額書籍配信サービスが伸びれば、書店に影響を及ぼす可能性がある。出版社から書店まで全ての企業が生き残りの道を探さなければならない。

著作権保護について国内外で様々な議論が交わされ、対策が練られているが、現状では海賊版を完全に排除する有効な手立ては見つかっていない。留まる見込みの立たない海賊版の横行は出版業界の変革を促すきっかけとなる。(ZUU online編集部)

最終更新:5/18(木) 17:10
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