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太陽光で建物のエネルギー収支がプラスに、竹中のZEB化改修で成果

スマートジャパン 5/18(木) 6:10配信

 2030年までに温室効果ガスを2013年度比で26%削減するという目標の達成に向けて、政府は建築物の省エネを促すための施策を強化している。2016年4月からは「省エネ性能表示制度」がスタートした他、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロになる「ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」の普及を促す方針だ。

【改修および導入した設備の概要】

 特に課題となるのがオフィスビルの9割以上を占めるといわれている、既存建物の省エネだ。新築とは違い実際の利用者がいる状況の中、どのように改修を加えて省エネ性能を高めていくかがポイントになる。オーナーにとっては改修に伴うコストとその回収年数など、費用対効果も気になる点だろう。

 竹中工務店はこうした既設建物の省エネおよびZEB化に関するノウハウの蓄積を目的に、自社のオフィスビルをZEB化改修した。実際に社員が執務を続ける中で改修を行ったのが特徴の1つで、性能面でも成果が得られた。改修後約1年にわたって運用を行ったところ、太陽光発電による創エネ量が消費量を上回り、年間のエネルギー収支でプラスを達成することができたという。

 ZEB化改修を行ったのは、千葉県中央区にある「竹中工務店 東関東支店」のオフィスビル。地上2階建てのRC/S造で、敷地面積は1432m2、延床面積は1318m2だ。改修期間は2015年10月~2016年3月の6カ月間。改修計画から施行にわたってBIMやVRなどの技術し、工期を3回に分けて、従業員が執務継続しながら改修を進めた。

 ZEB化改修においては「快適性の考え方を変える」「スーパー省エネビルを作る」「スマートな働き方を考える」「災害にも強くなる」という4つのコンセプトを掲げた。超高性能断熱、ダブルスキン、ブラインドおよび自然通風の自動制御、調光LED、デシカント空調などを採用した他、地中熱利用システム、放射空調、太陽光発電および太陽熱利用システムなどを導入している。

 さらにウェアラブル端末の「Apple Watch」を利用して計測した従業員の活動量や、体感申告による情報を利用し、個人の好みを学習して最適な温度や気流を提供できるシステムなども導入した。省エネだけでなく、従業員の知的生産性を高めることも目指したという。なお、改修に掛かったコストは非公開としている。

■太陽光発電でエネルギー収支をプラスに

 東関東支店のオフィスビルはZEB改修後、2016年5月から本格的に運用を開始した。経済産業省が発表しているZEBの定義を満たすには、以下の2つの条件をクリアする必要がある。

1. 再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量(エネルギー消費性能基準)から50%以上の一次エネルギー消費量削減
2. 再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減

 一次エネルギー消費量は1年間の合計で403MJ/m2となった。これは改修前と比較して71%削減できたことになるという。1つ目の条件はクリアすることができ、既に「Nearly ZEB」は達成できた。

 オフィスビルには改修後、屋上に出力40kW(キロワット)の太陽光発電システムを導入している。同時に容量144kWh(キロワット時)のリユースタイプのリチウムイオン蓄電池を併設し、一時的に電力を貯蔵して有効利用できるようにしている。非常時にも活用でき、BCP対策でのメリットもある。なお、季節や日によって発電量が蓄電可能量を上回り、余剰電力が発生した場合は、東京電力に売電している。

 1年間の運用の結果、太陽光発電による発電量の合計は417MJ/m2を記録した。つまり年間のエネルギー消費量403MJ/m2全てを太陽光発電によるエネルギーでまかなえたことになる。これにより、ZEB化を達成することができた。

 竹中工務店では今回のZEB改修で導入した技術や設備は、「ZEB Ready」や「Nearly ZEB」などにも適用可能としており、今後需要が増加するとみられる省エネ改修の提案に活用していく方針だ。

最終更新:5/18(木) 6:10

スマートジャパン