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台湾のかき氷文化、奈良に 張世昌さん、天理のカフェから発信中

産経新聞 5/18(木) 7:55配信

 ■「氷が何よりも主役」

 かき氷ブームの中、「スノーアイス」(雪花氷)という台湾のかき氷が県内でも話題を集めている。腕を振るうのは、香芝市に住む台湾人、張世昌さん(37)。柔らかい食感作りと素材選びに徹底してこだわる張さんは、「奈良から日本に台湾のかき氷文化を根付かせたい」と話す。

 細かく削られたミルクベースの氷の上に、ふんだんにトッピングされた天理産の生イチゴ。雪のようにやわらかい氷が、イチゴの甘さとともに舌の上で溶けていく。「台湾かき氷の特徴は、日本に多い純氷とは違い、ミルクなどを混ぜ合わせているところ。添加物を入れず、氷が何よりも主役です」

 こう話す張さんは、台北の実家が祖父の代から続くかき氷店で、幼い頃から店の手伝いをして育った。23歳で天理大学に留学し、その後日本人と結婚。現在は整体師として香芝市内で自営業を営むかたわら、3年前から「子供や友人に食べてもらおう」と、かき氷を作り始めた。

 日本で台湾かき氷が広まったのは、有名店「アイスモンスター」が日本進出した2年前。張さん自身は店を構えてはいないが、飲食店を営む友人に「デザートのメニューにしたい」と頼まれ、期間限定で提供するうちに、その味が口コミで話題に。現在は、天理市別所町に昨年6月オープンした「カフェ・エンメ」で、イチゴ、マンゴー、抹茶の3種類(すべて800円)を提供している。

 同店のオーナー、向井浩子さん(53)も張さんのかき氷にほれ込んだ1人。香芝市のイベントで試食してすぐ、「うちの店で出してほしい」と頼んだという。「お客さんがツイッターやフェイスブックに投稿し、それを見て食べに来る人が多い」と向井さんは話す。

 かき氷づくりを始めた張さんが「影響を受けている」というのは、実家のかき氷店「金星氷菓室」を創業し、2年前に87歳で亡くなった祖父の黄瓊耀さん。日本統治時代に教育を受けたため日本語は流暢(りゅうちょう)で、生前は製氷機などの購入や旅行で、何度も日本を訪れていたという。

 「祖父の経営理念は、客が食べたいと思うかき氷だけではなく、自分が食べさせたいと思うかき氷を作ることでした」。当初は意識していなかったが、気づけば同じ思いを抱いていたという張さんは、「とことん自分のこだわりを貫いて、人に喜んでもらえるものを作りたい」と力を込める。かき氷シーズンの到来に向け、近く、新作も発表するつもりだ。

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 張さんのかき氷を提供している「カフェ・エンメ」(天理市別所町67の1)は平日午前9時~午後5時営業。土日定休。生イチゴは5月中の限定販売。問い合わせは、同店(電)0743・85・4555。

最終更新:5/18(木) 7:55

産経新聞