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JOLED、印刷法で21.6型有機ELを製品化、次は大型へ

5/18(木) 9:55配信

EE Times Japan

■「サンプル価格で60万円から100万円の間」

 「印刷方式もここまで来たということを見せたかった」(JOLED社長 東入來信博氏)

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 JOLEDは2017年5月17日、RGB印刷方式で製造し4月から有償サンプルを開始した有機ELパネルを報道陣に公開した。

 公開した有機ELパネルは、画面サイズ21.6型(478.1×268.9×548.5mm)で、解像度は4K相当の3840RGB×2160画素(829万画素)。精細度は204ppi。パネル重量は500gでパネル厚1.3mm。輝度は350カンデラ/m2(ピーク時)、コントラストは100万対1だ。

 寿命については、1000時間(LT95、350カンデラ/m2)。「既に(JOLEDの)大株主であるソニーが採用を決めていることからも、寿命など実用段階にあるということを理解いただきたい」(東入來氏)

 価格については「サンプル価格で60万円から100万円の間」(東入來氏)との表現にとどめた。量産開始時期については「あと1カ月で、量産技術確立のマイルストーンに達するところまできた」とし、2017年6月から量産に移行する予定。製造については、ジャパンディスプレイ(JDI)石川工場(石川県川北町)内にある製造ラインで実施する。同製造ラインは、4.5世代(730×920mm)基板対応製造ラインで生産能力は月産2300枚(21.6型パネル換算で6900枚)で研究開発用ラインの機能も兼ねる。東入來氏は「月産2000枚程度のライン。量産とは思っていない」とも述べた。

■印刷法と蒸着法

 有機ELパネルの製造法には、JOLEDが手掛ける印刷法とともに、蒸着法が存在する。RGBの画素を1色ずつ形成するRGB蒸着法での有機ELパネル製造は、Samsung Electronicsが主にスマートフォンに向けた5~10型の小型パネルで先行する。

 ただ、RGB蒸着法は技術的に12型以上の中大型パネルの製造が困難だとされる。また蒸着法としては、RGB個別の画素を構成せず、RGBの層を重ね白色を面で発光する白色EL蒸着法もあり、LG Electronicsなどが50型以上の大型パネルの製造に用いているが、性能や構造面での制約があり、中小型パネルへの適用が難しいとされる。

■Samsung、LGが参入できない領域から

 一方、RGB印刷法は、理論上、適用できるパネルサイズに制約がなく、JOLEDでは前身1つであるパナソニック時代を含め既に12型から55型までの有機ELパネルの試作を終えている。

 そこで、JOLEDはRGB蒸着法で先行するSamsung、白色EL蒸着法で先行するLGの両社が参入しにくい12~32型前後の中型パネル領域からの事業参入、市場創造を目指す戦略を掲げている。

 中型パネル領域では、高精細化が進む液晶パネルとの競合することも予想されるが「いずれは競合するだろうが、今は液晶パネルを置き換えるという考えはない。100万対1の高コントラストなど液晶ができない(ハイエンドよりさらにハイエンドの)ハイハイエンドの領域、有機ELを認めてもらえる領域がターゲット」とする。その上で「20~32型液晶モニターの市場規模は、年間1億台程度とされている。その上位1%で100万台になり、そこがJOLEDのターゲットになる。ただ、現状の製造ラインでは製造能力は足りず、(他社との提携するなど)新たなビジネスモデルを構築する必要がある。日本の中でも、開発拠点、パイロットラインももう少し大きいものが必要になる」との見通しを示した。

 中型パネルに続く事業展開領域としては、大型パネル領域を設定。同領域は、大規模な製造設備が必須となるが、他社とのアライアンス戦略を検討し、参入機会を探る。

■スマホ市場はまずJDIの蒸着法から

 スマートフォン向けなど小型パネル領域への取り組みについて東入來氏は「今は技術的な課題は多い。これから数年掛けて、材料、設備の問題を解決していけば製造可能になる。JOLEDでは(精細度)350ppiの開発ロードマップを引き、理論上は400ppiまで対応できるとみている」(東入來氏)とした。ただ、小型有機ELパネル市場は、スマートフォンシェアトップのSamsungが主力スマートフォンの「Galaxy S8」で搭載を始めた他、Appleが2017年後半にも投入する新型「iPhone」への搭載が有力視され、需要が急拡大する見込みだ。ただ、東入來氏は「何としても小型パネルをやるわけではない。技術を確立できてコストが見合えばやる」と慎重な姿勢を強調する。

 2015年1月にパナソニックとソニーの有機ELパネル関連技術を引き継ぎ発足したJOLEDは、2017年中をメドにJDIの連結子会社となる予定で、2017年6月からはJOLED社長の東入來氏がJDIの社長兼CEOも兼務することになっている。そのJDIは、蒸着法による小型有機ELパネルの開発を進めている。

 東入來氏は「(JDIの連結子会社になった後も)普遍的な技術として印刷法の確立は続けていく。仮に、小型パネルの印刷法技術が確立できれば、全て印刷で行けば良いが、すぐにできない。(印刷法の技術確立までの)時間を考えれば、(JDIは)蒸着法できちんとやり抜くべき」との考えを示した。

最終更新:5/18(木) 9:55
EE Times Japan