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<日本酒>夏は氷点下で 埼玉・老舗酒造にシャープの技術

毎日新聞 5/18(木) 13:31配信

 1840(天保11)年創業の老舗「石井酒造」(埼玉県幸手市)が今夏から、0度以下に冷やして飲む純米吟醸酒を新たに販売する。電機大手「シャープ」の協力で、開発した日本酒を氷点下2度に保つ専用の保冷バッグとセットで売り出す。ビールにある「氷点下」を日本酒で実現した酒蔵の8代目・石井誠社長(29)は「日本酒の需要が落ちる夏場にこそ楽しめる新定番になれば」と期待する。【錦織祐一】

 新酒名は「雪どけ酒 冬単衣(ふゆひとえ)」。日本人は5度前後の冷酒を「雪冷え」、10度を「花冷え」などと呼んで風味の違いを楽しんできた。0度以下で飲む酒の醸造にあたって、口に含むと雪がとけるような味わいを楽しめるとの思いを込め、石井社長は「雪どけ」と名付けた。

 石井社長によると、日本酒は熱燗(あつかん)の印象が強く、夏の需要は冬の10分の1以下にまで落ちる。何か妙案がないか模索する中、大学の後輩を通じて昨年8月、シャープの研究所に勤める西橋雅子さん(48)を紹介された。

 シャープは液晶パネルの温度を制御する技術を応用し、28度から氷点下24度の間で温度を一定に保つ液体「蓄冷材料」の開発に成功。西橋さんらはこの技術に着目して社内ベンチャーを設立し、日本酒を氷点下2度に保つ蓄冷材料を商品化した。蓄冷材料は冷凍庫で6時間ほど凍らせて使うが、日本酒はアルコールが含まれるため凍結せず、周囲の気温が23度だと2時間以上、温度を保てるという。

 一方で石井社長は、酒の仕込み時期を伝統的な冬から夏に変更。発酵時に温度が上がり過ぎないよう、醸造タンクの周囲に水冷管を巡らせて冷却することで対応した。キリッとした冷酒を口に含むと、甘みと香りが広がる「雪どけ」のイメージで現在醸造中だ。

 4合瓶(720ミリリットル)と保冷バッグのセットで6600円。試飲イベントに参加した関係者からは「日本酒の価値を見直すことにもつながる」と評判は上々という。注文を現在受け付け中で、発送や店頭販売は7月以降の予定。問い合わせは石井酒造(0480・42・1120)。

最終更新:5/18(木) 15:06

毎日新聞