ここから本文です

うつ病の新たな治療法を発見、選択的セロトニン再取り込み阻害薬とは異なる仕組み

5/18(木) 15:10配信

MONOist

 大阪大学は2017年4月25日、うつ病の新たな治療メカニズムを発見したと発表した。セロトニン3型受容体が、脳の海馬のIGF-1(インスリン様成長因子-1)の分泌を促進することで海馬の新生ニューロンを増やし、抗うつ効果をもたらすという。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が効かない難治性うつ病に対する新たな治療薬の開発が期待される。

 今回発表した研究は、大阪大学 大学院 医学系研究科 准教授の近藤誠氏、教授の島田昌一氏らの研究グループによるもので、成果は同日付で米科学誌「Molecular Psychiatry」電子版に掲載された。

 研究グループがマウスの脳を解析したところ、海馬でセロトニン3型受容体を発現する神経細胞がIGF-1を産生していることを新たに発見。マウスにセロトニン3型受容体を刺激する薬物(セロトニン3型受容体アゴニスト)を投与すると、海馬のIGF-1分泌が増加し、セロトニン3型受容体が海馬のIGF-1分泌を制御していることが分かった。

 さらに、セロトニン3型受容体アゴニストが海馬の新生ニューロンやうつ行動に与える影響を解析した。その結果、セロトニン3型受容体アゴニストは、海馬のIGF-1分泌を促進することで神経幹細胞の分裂を促進して新生ニューロンを増やし、抗うつ効果をもたらすことを解明。これはSSRIを投与した時には見られない現象で、SSRIによる抗うつ作用とは異なるうつ病治療のメカニズムだ。

 現在、うつ病の治療にはSSRIが最も広く使用されているが、その寛解率は半数にも満たないとされる。同成果は、難治性うつ病に対して、セロトニン3型受容体を標的とした新たな治療薬の開発につながることが期待される。また、セロトニン3型受容体アゴニストは、SSRIとの併用でも相乗的なうつ病治療効果をもたらし、うつ病の寛解率を上げる可能性が期待される。

最終更新:5/18(木) 15:10
MONOist