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Infineon、フルSiCモジュールを2018年に量産へ

5/18(木) 22:10配信

EE Times Japan

■フルSiCモジュールを量産開始へ

 Infineon Technologiesは2017年5月16日(ドイツ時間)、「PCIM Europe 2017」の開催に合わせて、耐圧1200Vのトレンチ型SiC-MOSFET(以下、1200V SiC-MOSFET)を2017年内に量産すると発表した。さらに、SiC-SBD(ショットキーバリアダイオード)と1200V SiC-MOSFETを使ったフルSiCのモジュール3種類も併せて発表。これらのモジュールの量産開始は2018年を予定している。

【Infineon Technologiesが発表したフルSiCモジュールに関する資料などその他の画像はこちら】

 Infineonは2016年のPCIM Europeで、オン抵抗が45mΩの1200V SiC-MOSFETを展示し、2017年に量産を開始すると発表していた。InfineonはSiCパワー半導体を「CoolSiC」ブランドとして提供していて、耐圧1200V/650V/600VのSBDと、同1200VのJEFTの製品ラインアップがある。これに1200V SiC-MOSFETが加わることになる。

 20年以上、SiCパワー半導体を開発してきたInfineonにとって、2017年はSiC製品のラインアップ強化を図る年になりそうだ。

 1200V SiC-MOSFETは、TO-247のパッケージを採用した3端子および4端子のディスクリート品として提供される。フルSiCモジュールは、6パックモジュールの「Easy 1B」、ハーフブリッジ構成の「Easy 2B」、62mmパッケージを採用したハーフブリッジ構成のモジュールがある。Easy 1Bは、インバーター出力が2kWなど小出力の用途に、Easy 2Bや62mmパッケージ品は、50kW以上のような大きな出力が必要な用途に向ける。これらの製品は全て、サンプル入手が可能だ。

 Infineonは今後、耐圧1700Vや3300VのSiC-MOSFETの開発を進めていく予定だ。InfineonのIndustrial Power Control部門でDivision Presidentを務めるPeter Wawer氏は、SiC-MOSFETの世界市場シェアについて、「いつまでに、という期限は明確に言えないが、30%のシェア獲得を目指している」と話した。

「GaNは後発でも、市場投入のタイミングは逸していない」

 Infineonが注力する次世代パワー半導体はSiCだけではない。GaNの製品ラインアップも強化している。2015年1月にIR(International Rectifier)を買収したことでGaNデバイスのポートフォリオを手に入れ、2015年3月には、GaNパワーデバイスの開発でパナソニックと協業することを発表した。

 PCIM 2017では、GaNパワーデバイス群のブランド「CoolGaN」として、耐圧600Vのノーマリーオフ型GaN HEMT(高電子移動度トランジスタ)を3種類発表した。オン抵抗は70mΩと190mΩで、出力が3kWまでのデータセンター用サーバやテレコムの用途に向ける。

 PCIM 2017では、600VのCoolGaNを用いた、2.5kWのトーテムポール型PFC(力率改善)のデモボードを展示した。70mΩの「DSO BSC」を2個と、33mΩのSi-MOSFET(「CoolMOS」ブランドとして展開)を2個用いたもので、99%以上の効率を実現しているという。さらに、同じく600V品を用いたLLC式DC-DCコンバーターのデモボードも展示した。160W/inch3の電力密度を実現している。

 InfineonのGaN Marketing & Applicationのシニアディレクターを務めるTim McDonald氏は、600V品のラインアップを用意したことについて「GaNパワーデバイスにおいて、より高い耐圧へのニーズがあるのは確かだが、まずは(現在のGaNパワーデバイスでは主流の耐圧である)600Vから始める。1200V以上は、SiCパワーデバイスの特性が生きる領域だと考えている。600Vから1200Vの間は、用途によってGaNとSiCが混在するのではないか」と述べた。

 今回の600V品はデータセンター用サーバとテレコム向けだが、今後は、「AC-DCアダプターやモバイル向けアダプターを狙う可能性もある」(McDonald氏)

 富士経済によれば、2016年のGaNパワーデバイス市場は14億円で、SiCパワーデバイスの205億円に比べると10分の1以下である。McDonald氏は「GaNパワーデバイスの市場はまだ小さいが、成長が加速していると感じる。Infineonは後発だが、GaNパワーデバイスを本格的に市場に投入するタイミングは逃していない。むしろ、今が絶好のチャンスだと考えている」と語った。

最終更新:5/18(木) 22:10
EE Times Japan